リセットボタンをポチっとな。
ルーターやスマートフォン、行き詰まったゲームなど、現状をいったんナシにして、ふりだしに戻るというやり方は、問題解決のためには、効果的で比較的痛みを伴わない方法です。このワザはWebブラウザでも使えます。私たちはコンピューターの前に座っているときはほとんどブラウザを操作していますから、その時間が長くなればなるほど、あらゆる種類の「ゴミ」がブラウザに蓄積していきます。これを一掃することで、さまざまなトラブルを解決できます。
ブラウザが保存しているデータの中には、重要なアカウントのユーザー名やパスワードのように役立つものもありますが、1年前の閲覧履歴や何か月も使っていないサードパーティのプラグインなど、それほど重要ではないものもたくさんあります。
定期的なリセットでブラウザを断捨離すると、反応速度がアップします。一般によく使われているブラウザの大半ではリセットにそれほど手間はかかりません。データを選んで消去することもできますし、サインインしている他のデバイスに消去を反映するかどうかを指定することもできます。
また、Google(グーグル)やApple(アップル)、Microsoft(マイクロソフト)、Mozilla(モジラ)などが、近ごろ盛んに押しつけてくる同期を停止したくてリセットを実行する人もいます。自宅のコンピューターで行なったことが全部、仕事用のラップトップに同期されるのはイヤだという人も、おそらくいるのではないでしょうか。
マルウェアを追い出すにもリセットが効果的です。さらに、カスタマイズした起動ページとか、何を検索してもアフィリエイトサイトにリダイレクトしてしまうブラウザアドオンなど、ブラウザの邪魔になっているものを根こそぎ退治したいなら、リセットを試してみましょう。
Chrome
Chromeを部分的にリセットするには、まず、ブラウザのメニューから「設定」の「閲覧履歴データの削除」へ進みます。そこで閲覧履歴、Cookie、サイトの設定、保存済みのパスワード、キャッシュされたファイルなど、削除するものを選択してください。GoogleアカウントでChromeにサインインしている場合、ここで選択したデータは、同期されているデバイスすべてで削除されます(それでは都合が悪いという場合は、まずサインアウトしてから削除を実行してください)。
Googleアカウントで同期しているもの(パスワードや閲覧履歴など)はそのままにして、今使っている(“ローカルの”)デバイスでのみ設定をデフォルトに戻すには、「設定」ウィンドウをずーっと下の方へスクロールし、「詳細設定」の「設定を元の既定値に戻す」を選択しましょう。これにより、起動ページ、新しいタブページ、固定タブ、サイトデータ、Cookieがリセットされ、インストールされている拡張機能とテーマがすべて無効化されます。
Googleアカウントの痕跡やその同期データをすべて、きれいさっぱりChromeから消去したいというならば、「設定」の一番上にある「Googleの設定」で「オフにする」をクリックします。これにより、ChromeとGoogleアカウントの関係が解消されます。また、これと同時に、ブックマーク、閲覧履歴、パスワードなどのデータを消去することもできます(この場合、これらの情報はすべてクラウドに残りますので、もう一度、サインインすれば元に戻ります)。
Firefox
Firefoxも部分的にリセット(Firefoxでは“リフレッシュ”)できます。Firefoxメニュー(画面右上の3本線)で「オプション」、「プライバシーとセキュリティ」の順に選択し、リフレッシュの対象を、Cookieやサイトデータ、閲覧履歴、ブラウザの使用中にサイトが記録したさまざまな権限(たとえば、マイクへのアクセス)などから選びます。
Firefoxで一番基本的なリフレッシュを行なうには、新しいタブを開き、そこから「about:support」にアクセスして、「Firefoxをリフレッシュ」をクリックします。これで、拡張機能やテーマ、サイト権限、変更した設定など、ブラウザでローカルに行なった変更が消去されます。パスワードやCookieなどブラウザに保存された主要なデータの多くはそのまま残ります。
現在使用しているコンピューターとクラウド(およびサインインしているデバイス)にあるFirefoxアカウントの間で同期するデータの種類の変更は「オプション」ウィンドウの「Sync」で行ないます。必要であれば、デバイスごとに同期するデータのタイプを変えることもできます。
Safari
どういうわけか、macOS用Safariのリセットオプションは、他のブラウザほど使いやすくなく、ボタン1つでリセットできるわけではありません。たとえば、キャッシュファイルを消去するには、まず、「Safari」メニューの「環境設定」から「詳細」を選択して「メニューバーに開発メニューを表示」をオンにし、表示された「開発」メニューの「キャッシュを空にする」をクリックする…とだいぶ手間がかかります。
Cookieをはじめ、ブラウザに保存されたWebサイトデータを削除するには、「Safari」>「環境設定」>「プライバシー」>「Webサイトデータを管理」の順に選択します。リストから削除したいデータを選択し「削除」をクリックしてください。ローカルに保存されているデータすべてを一度に削除するには、「すべてを削除」をクリックします。リストには、それぞれのWebサイトについて、削除されるデータの種類が表示されています。
ブラウザの履歴や拡張機能も消去できますが、コマンドの場所はそれぞれ異なります。ブラウズ履歴の一部または全部を消去するには、「Safari」>「履歴を消去」を選択します。このとき、直近1時間からすべての履歴まで、消去の対象となる期間を選択できます。また、履歴と同時にCookieも消去されます。拡張機能については、「Safari」>「環境設定」>「機能拡張」に進んで、機能拡張の一覧を表示し、個別にアンインストールしてください。
Edge
機能強化された最新のMicrosoft EdgeはChromiumをベースにしていますから、利用できるオプションもどことなくGoogle Chromeに似ています。Edgeをリセットするには、「設定」メニューから「プライバシーとサービス」を選択し、「クリアするデータの選択」をクリックしましょう。Cookieやキャッシュファイル、閲覧履歴などデータの一部またはすべてを消去できます。
Edgeにサインインして、他のデバイスのEdgeと同期している場合には、それらのデバイスもリセットされる点もChromeと同じ。このようなリセットを避けたい場合には、「設定」ウィンドウにある「プロファイル」の「同期」で同期を停止する必要があります。
また、「設定」ウィンドウには「設定のリセット」というその名のとおりの動作をしてくれるオプションもあります。このオプションは、ブラウザの起動時や新しいタブを開いたときに表示されるページ、Edge内で使用されるデフォルトの検索エンジンなど、ローカルの設定をリセットします。Cookieなどの一時データも消去されますが、保存されているパスワードや閲覧履歴などは残ります。
Opera
あら、Operaをお使いですか。では、「設定」の「詳細ツール」に進みましょう。そこにはさまざまなリセットオプションがあります。たとえば、Cookieを消去し、サイトの権限をリセットするには、「サイトの設定」を使用します。また、閲覧やダウンロードの履歴、保存済みのパスワードなどの消去は「閲覧データを消去」で行ないます。
閲覧データの消去を、Operaアカウントでサインインしている他のデバイスにも反映するかどうかを指定するためのオプションは、「設定」の「基本設定」の「同期」にあります。ここで、Operaアカウントへサインインすると、ローカルコンピューターで行なった操作を他のデバイスに反映させることができます。反映したくない場合は、サインアウトしてください。
ChromeやEdgeと同じく、OperaもChromiumをベースにしているので、「設定」ウィンドウの一番下にはおなじみの「設定を元の既定値に戻します」があります。ほかのChromiumブラウザと同様、このオプションで(デフォルトの検索エンジンのような)ローカル設定はリセットされますが、パスワードなど同期データはそのまま残ります。