『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(c)2021 CTMG. (c)& TM 2021 MARVEL. All Rights Reserved.
映画館が新型コロナウイルスのオミクロン株感染の警戒を強めるなか、全米では『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の前売り券の売り上げが過去最高記録を達成した。【写真】『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』ドクター・ストレンジ写る新海外版ポスター 本作は、トム・ホランドが主演を務める『スパイダーマン』シリーズ3部作の集大成として、12月17日に全米公開。MJ役のゼンデイヤ、ドクター・ストレンジ役のベネディクト・カンバーバッチらが共演する。 11月29日に米国でチケットが発売されると、その売れ行きに追いつけなかった一部のウェブサイトがサーバーダウン。何百もの上映時間分のチケットがすぐに完売したため、劇場のオーナーは急遽、対応可能な限りの追加上映を行うことに。 久しぶりに世界中の映画館で繰延需要が発生しているこの経済状況での即完売は、苦境に立たされる映画館ビジネスにとっては、歓迎すべき悩みだろう。『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』、『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』、『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(いずれも2021年)などの大ヒット作が興行収入をゆるやかに回復させ、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』がチケット販売を再活性化させた。これは観客を映画館に呼び戻す最大のチャンスをもたらした。しかし、“親愛なる隣人”ピーター・パーカーにとってのドクター・オクトパスやミステリオよりも、さらに脅威となる敵が立ちはだかる。それは世界中に蔓延し、新たな感染者の増加を招く可能性のあるCOVID-19の新たな変異体「オミクロン株」だ。この変異体についてはまだわからないことも多いが、映画を観に行くなど屋内での活動を控える動きに繋がる可能性もある。 米オンラインチケットサービス会社・ファンダンゴ(Fandango)によると、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』は、『ブラック・ウィドウ』を抑えて、2021年の前売り券売り上げ記録を更新。これは新型コロナウイルス流行以前に初公開された映画に追いつく記録となり、その結果、ファンタンゴの初日前売り券の売上は2019年のスーパーヒーローの大ヒット作『アベンジャーズ/エンドゲーム』以来の最高の結果をもたらしている。ファンタンゴ上では実際に『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018年)、『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2019年)、『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(2017年)、『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』(2019年)などの売り上げを上回っている。 このように『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』は、米国内においての興行成績で華々しいスタートを切ることが期待されているものの、前売りが好調であることは、本作が『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(北米公開初週興行収入2億5,800万ドル)、『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(北米公開初週興行収入2億2,000万ドル)、『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの誕生』(北米公開初週興行収入1億7,700万ドル)などの公開初週の数字を上回る、あるいは並ぶことへの確証には繋がらない。映画のチケットを事前に購入するということは、その作品のコアファンの間で確固たる期待値があることを示している。しかしそれが必ずしも初動の興行成績に結びつくとは限らないのだ。 パンデミック以降、一般の観客は早めにチケットを購入して、他の来場客との距離が近すぎない席を確保する習慣がついた。加えて、いくつかの大手映画館では直接チケットを購入する方法が廃止されたため、来場客は映画館に行く前にデジタルで席を予約しなければならなくなった。 米興行成績調査会社エグジビター・リレーションズのシニアアナリスト、ジェフ・ボック氏は、「多くの観客にとって、パンデミック前よりも座席の配置は重要になっている。以前は、視聴体験のために最高の席を確保することが問題だったが、最近はソーシャルディスタンスをとって、安全であることや安心であることが重要な要素になっているのだ」と語っている。その上で、「オミクロン株が映画館を閉鎖したり、観客を脅かしたりしない限り、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』は2021年公開作品で最大のデビューを飾る運命にある」と結論付けた。 なお、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』は、全米から3週間遅れて2022年1月7日に日本公開される。※参考https://variety.com/2021/film/news/spider-man-no-way-home-record-ticket-sales-omicron-1235123000/
Nana Numoto