テレワークと外出自粛の日々を過ごすうち、家庭のネットワーク環境の大切さを痛感した人も少なくないだろう。家にインターネットの回線があっても、それと自分のPCやタブレットをどう接続するかで、通信の快適さは天と地ほど違ってくる。リビングの片隅にテレワーク環境を整えても、Wi-Fiが遅くては作業効率もガタ落ちだ。
Wi-Fiが遅い原因は様々だが「使っている通信規格が古い」、「Wi-Fiルーターの電波が弱い」というのは割と定番だ。これまでWi-Fiルーターの速度や性能に頓着しなかった人でも、この1ヶ月の外出自粛の日々の中で、Wi-Fi環境の弱点に気づいた人もいるはずだ。
そんな方にオススメなのがASUSの新製品「TUF-AX3000」だ。最新のWi-Fi規格「IEEE 802.11ax」またの名を「Wi-Fi 6」を採用し、通信速度は最大2402Mbpsまで対応。昨年まではWi-Fi 6と言えばハイエンドモデル専用の規格だったが、本機は実売価格1万9800円前後、かつネットワークゲームを楽しむのに有利な機能を備えた、高付加価値モデルの廉価版と言うべき製品だ。
Wi-Fiルーターは乗り換える強い動機がなければ、なかなか買い換えに踏ん切れないものだ。すでに家にWi-Fiネットワークがあるならなおさらだ。だがそのWi-Fiネットワークは家のどこにいても使い物になるのだろうか? 電波の強いところでしかYouTubeが視聴できないとか、スマホアプリのアップデートができないとかいうトラブルはないだろうか?
そこで今回はTUF-AX3000の魅力を解き明かしつつ、旧世代のWi-Fi 5(IEEE 802.11ac)ルーターと最新のTUF-AX3000でどこまで差がつくかを検証してみたい。
ASUS「TUF-AX3000」は通信速度最大2402Mbpsに対応したWi-Fi 6ルーター。実売価格は1万9800円前後とお手頃で、ゲームに有利な通信環境を整えたい人にピッタリの製品に仕上がっている
セットアップは少し楽になった
実売価格で2万円を切ったWi-Fi 6ルーターと言えば、以前レビューした「RT-AX3000」が思い浮かぶが、ハードウェアの部分は両者はほとんど同じものと考えて良い。搭載されているCPU(Broadcom 6750)や組み込まれているインターフェース類も変わらない。しかし、さすがゲーミング向けを謳うだけあって、黒一色で統一されていたRT-AX3000と比べ、差し色としてあしらわれた黄色のラインや本体中央の「TUF Gaming」ロゴなど、装飾はゲームのわくわく感をあおるようなデザインになっている。
TUF-AX3000の通信速度はWi-Fi 6を5GHz帯の電波で使う場合は最大2402Mbps、Wi-Fi 6かつ2.4GHz帯なら574Mbps。Wi-Fi 5機器をつなぐ場合は5GHz帯なら867Mbpsが上限となる。Wi-Fi 6ルーターのハイエンドモデルだと4804Mbpsまで対応している製品も存在するが、肝心のWi-Fi 6対応ノートPCなどは2402Mbps接続が上限なことが多い。つまり、TUF-AX3000の通信速度のスペックは“いい塩梅”と言えるだろう。
TUF-AX3000のアンテナは4本。5GHz帯(2402Mbps)用に2本、2.4GHz帯(574Mbps)用に2本とすることで、両方の電波で同時に通信できる。青いLANポートはインターネットの宅内回線やONUに接続するためのもの。黄色いのは家庭内の有線LANデバイスを接続するためのものだ。USB 3.0ポートは外付けHDDを接続し、ファイルサーバーやMacのTimeMachineとして運用することもできる