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「AQUOS R6」はどんな人向け? 「ライカ」「1型センサー」のカメラを徹底検証する:荻窪圭の携帯カメラでこう遊べ(1/3 ページ)

LEICAの文字が輝くシングルカメラのフラグシップスマホ AQUOS R6

 カメラファンがみな注目しているシャープの「AQUOS R6」。何しろドイツが誇る老舗カメラ・レンズブランドのライカ(Leica)とコラボしたのである。

 フィルム時代からのレンジファインダーカメラをデジタル化した「LEICA M」シリーズは(高価だけれども)人気だし、パナソニックやシグマが採用しているミラーレス一眼用のLマウントもライカが開発したマウントだし、スマホの世界にも早くから飛び込んでいて、Huaweiはライカブランドのレンズを搭載してカメラ性能がぐっと上がったし、パナソニックもライカブランドのレンズ(もともとデジタルカメラで協業している)を搭載した「LUMIX DMC-CM1」を出していた。

左がパナソニックの「LUMIX DMC-CM1」(2015年)、右が「AQUOS R6」。どちらも1型センサー+ライカレンズだ(2021年7月6日19時25分:初出時、製品名に誤りがありましたので訂正致しました)

 まあそんな世界的な信頼と実績と老舗のブランドのライカが今度はシャープと手を組んだのである。カメラ好きの間で話題にならないわけがない。しかもハイエンドコンデジと同じ「1型」の大きなセンサーを搭載しているのだ。

 ここで大事なのは、AQUOS R6はライカかAQUOSか、ってこと。分かりやすく言えば「AQUOSの顔をしたハイエンドコンデジ」なのか「ハイエンドコンデジ並の画質を持つAQUOS」なのかと言い換えてもいい。最初に言っておくと、これは後者である。あくまでもAQUOSだ。

1型センサーの威力はいかに

 R6はシングルカメラのハイエンド端末。多くのメーカーは「そこそこの画質のカメラを3つ搭載する」のに対し、AQUOS R6は「超高画質なカメラを1つだけ搭載する」方を選択したのが特徴だ。それが2020万画素の1型センサー。ハイエンドコンデジの代表的モデル、ソニーのRX100やパナソニックのTX2、キヤノンのPowershot G7Xなどで採用されているサイズだ。

「AQUOS R6」はどんな人向け? 「ライカ」「1型センサー」のカメラを徹底検証する:荻窪圭の携帯カメラでこう遊べ(1/3 ページ)

 そのため、一般的なスマホのカメラと違う点がいくつかある。1つはセンサーサイズ。小さなものは1/3型、大きくて1/1.12型とバラツキがあるが、取りあえず1型が一番大きい。この1型って何のサイズ? と言われると歴史的経緯がいろいろあってややこしいが、大ざっぱに「対角線の長さ」と思っていい。画素数の割にセンサーサイズが大きいと1画素あたりの面積が大きくなるので、その分光を多く捉えることができる。それが大型センサーのメリットだ。

 もう1つはアスペクト比。スマホのカメラはどれも「4:3」。それに対してAQUOS R6のセンサーは「3:2」とちょっと横長だ。APS-Cサイズやフルサイズのデジタル一眼と同じアスペクト比であり、35mmフィルム時代のアスペクト比と同じ。だから一般的なスマホのカメラに比べてちょっと横長(縦位置で撮るときは縦長)に写る。

カメラアプリの画面。よく見ると普通のスマホよりちょっと横長だ

 設定で16:9や4:3にすることもできるけど、センサーのアスペクト比は3:2なのだ。

アスペクト比とサイズはいろいろと選べるが、20Mで撮るときは3:2になる。一般的なスマホとそろえたいときは4:3で

 レンズは薄型ながら超広角の19mm相当でF1.9と明るいもの。ライカの「SUMMICRON」(ズミクロン)ブランドとなっている。

LEICA SUMMICRON 1:1.9/19 ASPH.と書かれている。1:19はレンズの明るさ(F1.9)。19は19mm。ASPHは非球面レンズを表している。その右にあるのがToFセンサー

 さらに暗所でのAFを高速化するToFも搭載している。

 ではカメラアプリを起動する。アプリのデザインは従来のAQUOSと同じだ。起動すると、ズームボタンが「人の全身アイコン」。画角的には24mm相当になる。これがAQUOS R6でいう「1x」だ。レンズは19mmなのに、1xが24mmとはこれいかに。

起動時。ズーム倍率はアイコンで示されている

 カメラ脳的には「え、19mm相当のレンズなのだから、それが1xになるんじゃないの?」となるところだが、一般的にカメラって起動したときの状態で使うことが多いから、スマホ的には納得できる。1つのカメラで超広角から望遠までまかなうために、19mm相当の超広角レンズを付けているけれども、常用するには19mm相当は広過ぎるのだ。

 では24mm相当で撮ったいつものガスタンクを。雲が多い日だったけれども、その隙間からかすかに日が差す瞬間を狙って撮影。

2000万画素で3:2なので5472×3648ピクセル。階調が柔らかくてハイライトからシャドーまできれいに描写されていてすごく自然な写り。拡大してもディテールがしっかり出ている

 で、写りだけれども、さすが1型センサーという良さ。デジタルズームっぽいディテールの弱さもないし、スマホのカメラでありがちな、絵の硬さもなく、階調もディテールも豊かで滑らか。これはさすがである。カメラアプリのズームボタンをタップすると次は2xの望遠になる。もちろんデジタルズームなんだけれども、元のデータが優れているだけあって滑らかできれい。しかも超解像ズームのおかげで不自然さも少ない。日常使いには問題ゼロって感じだ。

2xで撮影。元のレンズ(19mm)から考えると2x以上なのだけど、思ったよりディテールもちゃんと出ていて、文字も読める。これは予想より素晴らしい

 ちなみに最大で6xまでいける。さすがに6xだとディテールは曖昧になってくるのでまあ普段使いは2xまでかな。さらにズームボタンをタップすると、超広角になる。やっとレンズ本来の画角だ。

これがレンズ本来の画角。19mm相当だ画質が劣化しやすい周辺部も頑張っており、さすがライカレンズ。色もいい

 というわけで、19mmのレンズなのに起動時は24mmでそれが「1x」になっている上に、カメラアプリでは「0.7xから6x」という現在の焦点距離が分からないなど「カメラ好きがカメラとして使おうとすると釈然としないところがある」んだけど、スマホ的には正しいといっていい。冒頭で書いたように「AQUOSの顔をしたコンパクトカメラ」はなく「コンパクトカメラ並の画質を持つAQUOS」なのだ。

 ただ、UI的にはこのズーム倍率変更はいただけない。素直に、超広角・広角・望遠の3つのボタンを並べて必要な画角にさっと切り替えられるべきだったと思う。そこは残念だ。

 ではいろいろと撮ってみる。

背景のボケ感をiPhoneと比べる

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