下り220Mbps対応を実現する2つの異なる技術
今回紹介するWX01は、UQコミュニケーションズのWiMAX 2+対応製品だが、「下り220Mbps」に対するサービスや端末の対応状況は非常に複雑になっている。そこで、本体やサービスの詳細に言及する前に、WX01を取り巻くWiMAX 2+の状況について整理する。
WiMAXおよびWiMAX 2+は、UQコミュニケーションズが総務省から割り当てを受けた2.5GHz帯のうち、50MHz幅の周波数帯域をベースとして展開するサービス。WiMAXは下り最大40Mbps、上り最大15.4Mbps、WiMAX 2+は下り最大110Mbps、上り最大10Mbpsという通信速度でサービスを提供してきたが、UQコミュニケーションズではWiMAX 2+の利用する周波数帯域をこれまでの20MHzから40MHzへと拡張、さらに複数の電波を同時に使用して、データ通信を可能とする「キャリアアグリゲーション技術」(CA)を導入し、上り速度は10Mbpsに据え置きつつ、下り速度をこれまでの2倍の速度である下り220Mbpsへ増速する。
下り220Mbpsの高速化に合わせて、対応するWiMAX 2+モバイルルーターも2機種を発表。WX01はその中の1機種になる。
ただし、同じ下り220Mbps対応でも、今回取り上げるWX01と、ファーウェイ・ジャパン製の「Speed Wi-Fi NEXT W01」は、対応する方式が異なる。ファーウェイ・ジャパンの「W01」は前述したCAに対応することで下り220Mbpsを実現しているのに対し、WX01はCAには非対応。代わりに、基地局と端末にそれぞれ従来の2倍となる4つのアンテナを搭載することで、帯域幅や通信出力を変更することなく通信速度を向上させる「4x4 MIMO」技術に対応させ、2x2 MIMOでのCAと同じ下り220Mbpsを実現しているのだ。
同じ速度のモバイルルーターだが、ユーザーにとって大きな違いはエリアだ。CA対応エリアは順次拡大していく方針ながらも、開始当初は栃木県真岡市と非常に限られたエリアになる。一方の4x4 MIMOも基地局側の対応が必要なものの、現状でほぼ全国の基地局が4x4 MIMOに対応しているため、4x4 MIMO対応のWX01さえあればほぼ全国で下り220MbpsのWiMAX 2+が利用できることになる。
もう1つの大きな違いが対応回線。W01はWiMAX 2+に加えてau LTEにも対応している一方で、WiMAXには非対応。一方、WX01はau LTEに非対応だがWiMAXには対応している。なお、W01でau LTEを利用する場合、申し込みは不要だが「LTEオプション」の利用料金として月額1,005円が加算される(2015年5月まではキャンペーン適用で無料になる)。
2機種のうちWX01のみ対応するWiMAXも注意が必要だ。前述の通り、UQコミュニケーションズが割り当てられている周波数帯域幅は50MHzだが、これまで20MHz幅で展開していたWiMAX 2+がCA導入によって倍の40MHz幅となった一方、30MHz幅だったWiMAXはWiMAX 2+のCA拡張分である20MHzが差し引かれ、CA対応エリアでは10MHz幅の展開となる。そのためCA対応エリアではWiMAX 2+が増速する一方、WiMAXについては下り40Mbpsから13.3Mbpsと減速する(CA非対応エリアでは従来通り下り40Mbps)。
機種 | WiMAX 2+ | 技術 | エリア | au LTE | WiMAX |
---|---|---|---|---|---|
WX01 | 対応 | 4×4 MIMO | ほぼ全国 | 非対応 | 対応 |
W01 | 対応 | CA | 栃木県から順次 | 対応 | 非対応 |