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新端末販売が厳しいファーウェイが自社スマホユーザーのストレージ(物理)増量サービスを開始

スマホのストレージを物理的に増量するサービスが始まった

 ファーウェイは2021年7月29日、中国でフラッグシップモデル「HUAWEI P50」シリーズを発表しました。しかし、その発表会ではスマートフォンメーカーとしておそらく史上初と言えるサービスも発表されたのです。それはスマートフォンのストレージ増量サービス。ストレージ増量と聞くと、クラウドを無料で提供し実用上の「保存容量の拡大」と思うかもしれません。しかしファーウェイが提供するのは、カスタマーサービスでスマートフォン本体を分解し、ストレージのメモリーチップを換装し増量してくれるのです。もちろんこれはメーカー純正のサービスになります。

イメージ写真。メーカー純正でストレージを増やす改造をしてくれる

 はるか昔、まだスマートフォンがない時代、パーム(Palm)などのPDAのストレージを自分で改造することが流行った時代がありました。メモリーチップを交換したり、既存のメモリーの上に重ね「カメの子」構造にするなど、先人たちは様々な工夫でストレージを増やすことに励んだものです。しかし、それも今から20年くらい前の話。今のスマートフォンはもはや自分の手で改造できるほど簡単なものではなくなっていますから、スマートフォンを買った後から内蔵ストレージを増やすことは基本的にできません。メーカーへ修理に出し「64GBモデルを128GBにしてほしい」といったこともやってくれません。

 ですが、ファーウェイは過去のモデルをさらに今後も使えるようにと、ストレージのアップグレードサービスに踏み切ったのです。この背景にはアメリカ政府の制裁を受け、思うように新製品を展開できないことから、既存のファーウェイ端末ユーザーに買い替えではなくストレージ増量でもうしばらく製品を使い続けてもらおう、という考えがあるのでしょう。

今でも利用者が多い「HUAWEI P20 Pro」(左)や「HUAWEI Mate 20 Pro」(右)も増量してくれる

 ファーウェイが6月にHarmonyOS 2を発表したときは、旧モデルの同OSのアップグレードスケジュールに加え、バッテリー交換や本体背面交換の割引サービスなども発表されました。中国市場で数年間もシェア1位だったファーウェイだけに、同社のスマートフォンユーザーは「億」単位で中国国内にいます。ハイエンドモデルであれば数年前のモデルでもまだ十分使えることから、これらの延命・増強サービスは多くの既存モデルユーザーにとって朗報でしょう。

6月にはバッテリーや背面交換サービスも発表された

 なお、バッテリー交換サービスは日本でも行なっています。一方、ストレージ増量サービスは中国国内のみ。ぜひとも日本など海外にも広げてほしいものですね。

日本でもバッテリー交換キャンペーンサービスを展開中

新端末販売が厳しいファーウェイが自社スマホユーザーのストレージ(物理)増量サービスを開始

 さて、ストレージアップグレード対応機種は「P」「Mate」「nova」「Enjoy」シリーズ。残念ながら「lite」モデルは対象になりません。それでも今から5年前、2016年の「HUAWEI Mate 9」からアップグレードしてくれるというのはありがたいことです。

7月から「P」「Mate」、8月以降に「nova」「Enjoy」を受付

 それでは費用はどれくらいかかるのでしょうか? ファーウェイのウェブページで機種ごとの費用が明示されています。たとえば最も古い対応モデル、HUAWEI Mate 9のストレージ増量価格を見てみると……。

・4+32GBモデル→4+128GBモデル:459元(約7800円)・4+32GBモデル→4+256GBモデル:659元(約1万1200円)・6+128GBモデル→6+256GBモデル:659元(約1万1200円)

 以上のように、元のストレージ容量に関わらず、増量されるストレージ容量によって価格は同一のようです。なお基盤が故障している場合などは追加料金がかかります。32GBモデルが1万円ちょっとで128GBになるのは悪くは無い価格でしょう。

HUAWEI Mate 9のストレージ増量料金。増量分のストレージで価格が決まるようだ

 ファーウェイのこのサービスは苦肉の策かもしれませんが、地球資源や温暖化の問題など「サステナビリティー」の視点で考えれば決して悪いものではありません。メーカーにとってはスマートフォンを次々に買い替えてほしいのが本音でしょう。しかし、これからの時代は過去の製品を使い続けているユーザーのことも大事にしてほしいものです。

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