ココが「○」 |
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・ノートPC感覚のキーボードカバー |
・キーボード込みで1キロを切る軽さ |
・国内メーカー製品では比較的安価 |
ココが「×」 |
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・キーボードカバーの固定が少々甘い |
・液晶の解像度は1280×800と控えめ |
・バッテリーの実駆動時間が若干短い |
意外にも「10.1型Windows 8.1タブレット」は東芝初
8型Windows 8.1タブレットを国内メーカーでは初めて投入した東芝だが、意外にも10型タブレットは後発だった。この「dynabook Tab S50」シリーズは、OSに32ビット版の「Windows 8.1 with Bing」を採用した10.1型タブレットだ。同社初の10.1型Windows 8.1タブレットとして2014年夏に登場し、この秋冬商戦も継続販売される。
32ビット版のWindows 8.1 with Bingを採用した10.1型タブレット「dynabook Tab S50」シリーズ。店頭モデルのほか、Web直販では3年保証のモデルも用意されている(詳しくは後述)OSのWindows 8.1 with Bingとは、Internet Explorer(IE)の検索エンジンとして「Bing」が標準設定されているWindowsの低価格デバイス向けエディションだ。いくつかの条件をクリアすることで、PCメーカーがマイクロソフトに支払うOSのライセンス料が実質無料となるため、製造原価を抑えられ、結果として販売価格も安く抑えられるというメリットがある。
もちろん、購入後にユーザーはIEの検索エンジンを任意に変更可能だ。それ以外は、既存のWindows 8.1と同じ機能を利用できる。つまりWindows 8.1 with Bingとは、Windows搭載機を安価に普及させ、先行するAndroidタブレットやiPadからシェアを奪うための戦略的な低価格エディションなのだ。
さて、dynabook Tab S50シリーズの製品ラインアップは、内蔵ストレージ容量の違いとキーボードカバーの有無で3モデルを用意する。価格はいずれもオープンだ。Windows 8.1 with Bingの採用により、全モデルにOffice Home and Business 2013を搭載(Office Premiumではない)しながら、量販店での実売価格は5万円(税別)前後からに抑えられている。ハイエンド仕様ではないが、性能、使い勝手、価格のバランスが整ったシリーズと言える。
「dynabook Tab S50」シリーズ店頭モデルの概要 | |||
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モデル名 | S50/36M | S50/26M | S50/23M |
液晶ディスプレイ | 10.1型ワイド(1280×800ピクセル) | ||
OS | 32ビット版Windows 8.1 with Bing | ||
CPU | Atom Z3735F(1.33GHz/最大1.83GHz)、4コア/4スレッド | ||
メモリ容量 | 2Gバイト(DDR3L-1333) ※交換不可 | ||
ストレージ容量 | 64Gバイト | 32Gバイト | |
グラフィックス | CPU統合(Intel HD Graphics) | ||
キーボード | Bluetoothキーボード | − | |
オフィススイート | Office Home and Business 2013 | ||
バッテリー駆動時間 (JEITA 2.0) | 約7時間 | ||
本体重量 | 約555グラム | ||
キーボード装着時重量 | 約995グラム | − | |
実売価格(税別) | 6万円台後半 | 6万円前後 | 5万円前後 |
今回レビューする「dynabook Tab S50/36M」はシリーズ最上位モデル。ストレージ容量が64Gバイトで、3モデルのうち唯一、キーボードカバーが付属した構成だ。CPUは4コア/4スレッド対応のAtom Z3735F(1.33GHz/最大1.83GHz)を採用し、Intel HD Graphics(CPU内蔵)、2Gバイトのメモリ(DDR3L-1333 DRAM)、1280×800ピクセル表示の10.1型ワイド液晶を搭載する。量販店での実売価格は6万円台後半(税別)だ。
写真は今回レビューするのは、キーボードカバー付きの最上位モデル「S50/36M」だCPUのAtom Z3735Fを2013年12月発売の8型Windowsタブレット「dynabook Tab VT484/23K」に搭載されているAtom Z3470と比較した場合、バースト周波数やSDP(Scenario Design Power:利用シナリオに即した電力設計)、メモリサポートに若干の違いはあるものの、コア数や2次キャッシュ、動作周波数は変わらない。使用感もほぼんど同レベルだ。
インテルが公開しているAtom Z3735FとAtom Z3740の主な仕様 | ||
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製品名 | Atom Z3735F | Atom Z3740 |
コア数/スレッド数 | 4/4 | |
2次キャッシュ | 2Mバイト | |
動作周波数 | 1.33GHz | |
バースト周波数 | 1.83GHz | 1.86GHz |
SDP(Scenario Design Power) | 2.2ワット | 2ワット |
最大メモリ容量 | 2Gバイト | 4Gバイト |
対応メモリ規格 | DDR3L-RS 1333 | LPDDR3-1066 |
メモリチャンネル数 | シングル | デュアル |
最大メモリ帯域幅 | 10.6Gバイト/秒 | 17.1Gバイト/秒 |
内蔵グラフィックス | Intel HD Graphics | |
グラフィックス動作周波数 | 313MHz | 311MHz |
グラフィックスバースト周波数 | 646MHz | 667MHz |
最大画面解像度 | 1920×1200ピクセル | 2560×1600ピクセル |
※CPU自体の比較であり、実際の搭載製品が同じ仕様とは限らない |
本体サイズは横位置の状態で約258.8(幅)×175(高さ)×9(厚さ)ミリ、重量は約555グラム(実測値で545グラム)と軽く仕上がっている。実際に持ってみても、10型クラスのWindowsタブレットではかなり軽い印象だ。背面に凹凸はなく、どちらかと言えばツルツルしている感があるが、指紋がつきにくい処理がされており、両手で握ってソフトウェアキーボードも快適に打てる。
10型クラスのWindowsタブレットでは軽量な約555グラムのボディ。両手で握ってソフトウェアキーボードも快適に打てる主なAtom Z3000シリーズ搭載「10型クラスWindowsタブレット」の重量比較
10.1型ワイド液晶ディスプレイは広視野角パネルを採用。アスペクト比16:10の1280×800ピクセル表示で、画素密度は約149ppi(pixel per inch:1インチあたりのピクセル数)となる。同時発表された8型Windows 8.1タブレット「dynabook Tab S38」シリーズと同じ解像度だが、8型の画素密度は約188ppiなので、数値上はかなり劣ってしまう。実際には、さほど表示の粗さは目立たないが、高精細表示を重視するユーザーには向かないだろう。
プリインストールされているOffice Home and Business 2013を使って細かい編集作業を行うときは、やはり8型では画面が狭く、10型の大画面が活躍する。付属のキーボードカバーと合わせて、操作性と生産性を高められるのは、S50/36Mのメリットだ。また、動画観賞でもタブレットとしては大きめの画面と、左右両端に配置されたDOLBY DIGITAL PLUS対応のステレオスピーカーが相まってなかなか快適と言える。
ボディカラーは「サテンゴールド」のみの1色展開だ。本体サイズは約258.8(幅)×175(高さ)×9(厚さ)ミリ、重量は約555グラム(実測値で545グラム)。前面はWindowsボタンがないシンプルなデザインで、画面上部に約120万画素のカメラを内蔵している(写真=左)。背面は右上に約500万画素のカメラを内蔵し、左下に「TOSHIBA」のロゴ、右下にVCCIなど各種エージェンシーラベルを配置する(写真=右)。細かいところだが、S50/36Mはキーボードが付属するものの、ノートPCではなく、タブレットとしての扱いのため、PCリサイクルラベルがない(将来廃棄する際には、リサイクル費用をあらかじめ製造メーカーが負担しているPCリサイクルラベル付きの個人向けPCと違い、廃棄費用を各個人が負担する場合があり、各自治体の処理に従う必要がある)1280×800ピクセル表示の10.1型ワイド液晶ディスプレイを搭載。これは8型タブレット「dynabook Tab S38」シリーズと同じ解像度になる通信機能はIEEE802.11b/g/nの無線LAN、Bluetooth 4.0を標準搭載。センサー類は加速度、ジャイロ、デジタルコンパス、GPSを内蔵する。約500万画素のメインカメラ、約120万画素のインカメラ、microSDXCメモリーカードスロット(最大128Gバイト)、Micro USB 2.0、Micro HDMI出力、ヘッドフォン/ヘッドセット共用端子、ステレオスピーカー、モノラルマイクも備えており、このクラスのWindowsタブレットとして不足のない装備だ。
横位置の状態。上面には電源ボタン、音量ボタン、Windowsボタン、マイクを配置する(写真=左)。10型クラスのWindowsタブレットで、画面の下ではなく、上面にWindowsボタンを備えている製品は珍しい。下面はストラップホールのみで、インタフェース類はない(写真=右)左側面には、ヘッドフォンおよびヘッドセット共用端子、左スピーカー、microSDXCメモリーカードスロット、Micro HDMI出力、Micro USB 2.0が並ぶ(写真=左)。右側面には右スピーカーを内蔵しているのみだ(写真=右)充電はMicro USB端子から行うため、市販のタブレット対応USB充電器なども利用できる。付属のACアダプタ(5ボルト/2アンペア出力)は小型軽量だ内蔵のリチウムポリマーバッテリーによるバッテリー駆動時間は約7.0時間(JEITA 2.0)、充電時間は約6.0時間(電源オフ時)だ。充電はMicro USB端子で行う。付属のACアダプタはサイズが27(幅)×43(奥行き)×43(高さ)ミリ、重量が本体のみで48グラム、USBケーブル込みで80グラムだった(いずれも実測値)。小型軽量なので、携帯してもじゃまにならない。
付属のBluetoothキーボードは、約17.5ミリピッチ/約1.5ミリストロークのキーボードとタッチパッドを搭載している。タブレット本体に合わせた専用設計のキーボードで、スタンドとカバーも兼ねた仕様だ。これにより、ノートPCのようにも利用できる。
専用キーボードカバーでノートPC並の使い勝手を実現1|2|3|4次のページへ