見た目はオーソドックスなLAVIE N11(N1115/CAB)
CPUには、2021年1月に登場した“Jasper Lake”世代の「Celeron N5100」を搭載する。インテルが教育市場向け製品への採用を搭載したCeleron Nシリーズの上位モデルで、10ナノメートルプロセスルールで作られている。4コア4スレッド対応で動作クロックは基本で1.1GHz、バーストクロックは最大で2.8GHzとなる。L3キャッシュ容量は合計で4MBだ。
なお、グラフィックスコアはIntel UHD Graphicsを組み込んでいる(グラフィックスコアの動作クロックは基本で350MHz、バーストで最大800MHz)。
処理能力に影響するシステム構成を見ていくと、システムメモリはLPDDR4Xを採用するものの容量は4GBで、オンボード実装のため増設はできない。ストレージは容量128GBのeMMCを搭載していた。
LAVIE N11(試用機)の主な仕様 | |
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製品名 | LAVIE N11 |
OS | Windows 11 Pro 64bit |
CPU | Intel Celeron N5100 (4コア4スレッド、動作クロック1.1GHz/2.8GHz、L3キャッシュ容量4MB) |
メモリ | 4GB(LPDDR4x SDRAM) |
ストレージ | 128GB eMMC(Toshiba 128G04) |
グラフィックス | Intel HD Graphics(CPU内蔵) |
光学ドライブ | ― |
ディスプレイ | 11.6型ワイドIPS液晶(1,366×768ドット、非光沢) |
通信 | Wi-Fi 6(IEEE802.11a / b / g / n / ac / ax)準拠の無線LAN、Bluetooth 5 |
生体認証 | ― |
インタフェース | USB 3.0 Type-C×1、USB 3.0 Type-A×2、HDMI出力端子×1、ヘッドホン/マイクジャック×1、microSDカードスロットなど |
サイズ | W290.4×D212.1×H20.5mm |
重さ | 約1.34kg |
バッテリー駆動時間(JEITA 2.0) | 約10.2時間 |
Jasper Lake世代Celeronの性能は? ベンチマークで確認
Celeron N5100を搭載したLAVIE N11の処理能力を検証するため、ベンチマークテストのPCMark 10、3DMark、CINEBENCH R23、CrystalDiskMark 7.0.0 x64を実施した。
なお、PCMark 10では、比較対象としてCPUにCeleron 3965Y(2コア2スレッド対応、動作クロック1.5GHz、スマートキャッシュ2MB、統合グラフィックスコア Intel UHD Graphics)を搭載し、システムメモリが16GB、ストレージがSSD 256GB(PCI Express 3.0 x4接続)のノートPCで測定したスコアを併記する。
ベンチマークテスト | LAVIE N11 | 比較対象ノートPC |
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PCMark 10 | 2239 | 1662 |
PCMark 10 Essential | 5227 | 3752 |
PCMark 10 Productivity | 3329 | 2620 |
PCMark 10 Digital Content Creation | 1753 | 1269 |
CINEBENCH R23 CPU | 1320 | |
CINEBENCH R23 CPU(single) | 563 | |
CrystalDiskMark 7.0.0 x64 Seq1M Q8T1 Read | 297.78 | |
CrystalDiskMark 7.0.0 x64 Seq1M Q8T1 Write | 133.77 | |
3DMark Night Raid | 2675 | |
3DMark Night Raid Graphics Score | 3375 | |
3DMark Night Raid CPU Score | 1230 |
システムメモリ容量が4GB、ストレージデバイスがeMMCと、比較対象モデルと比べスペック面で不利なLAVIE N11だったが、PCMark 10ではCPU処理能力のウェイトが高いEssentialとProductivityにしても、グラフィックス処理のウェイトが高いDigital Content Creationにしても、比較対象モデルのスコアを上回っている。
物理コア数の多さ(対応スレッド数では同等だが)と、動作クロックの速さがシステムメモリの容量とストレージ規格の不利をカバーしたといえる。
一方で、ストレージの転送速度を評価するCrystalDiskMark 7.0.0 x64では、三ケタ台という低い値になった。
なお、NECPCの公式データにおいて、LAVIE N11のバッテリー駆動時間はJEITA 2.0の測定条件で約10.2時間となっている。内蔵するバッテリーの容量はPCMark 10のSystem informationで検出した値で42,010mAhだった。
バッテリー駆動時間を評価するPCMark 10 Battery Life benchmarkで測定(ディスプレイ輝度は10段階の下から6レベル、電源プランはパフォーマンス寄りのバランスにそれぞれ設定)したところ、Modern Officeのスコアは9時間38分(Performance 4433)となった。
使用中の熱さと音はどのくらい? 温度計と騒音計で測ってみる
LAVIE N11は2in1 PCだ。教育現場では体育館などの特殊教室や校外学習など、机やテーブルがない状況の利用も多く、その場合は膝にクラムシェルスタイルの本体を置いた姿勢が取られるだろう。また、タブレットスタイルで本体を手に持った状態で使う場面も、それなりに多いと想定される。
それだけに本体からの発熱が気になるところだ。また、授業中に多くの生徒が一斉に使うことになるので、本体が発する音量も気になる。
そこで、本体からの発熱と音量を測定するため、電源プランをパフォーマンス優先に設定して、ベンチマーク「3DMark NightRaid」を実行し、CPU TESTの1分経過時において、Fキー、Jキー、パークレスト左側、パームレスト左側、底面のそれぞれを非接触タイプ温度計で測定した表面温度と、騒音計で測定した音圧の値を調べてみた。その結果は次のようになった。
表面温度(Fキー) | 36.5度 |
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表面温度(Jキー) | 36.4度 |
表面温度(パームレスト左側) | 25.8度 |
表面温度(パームレスト右側) | 27.7度 |
表面温度(底面) | 39.2度 |
発生音 | 37.7dBA(暗騒音37.1dBA) |
底面で最も温度が高い場所(本体後端に近い排熱スリットの部分)が39度台に達したものの、そのほかの測定箇所では体温以下にとどまっている。底面の温度も低温やけどが起きるとされている40度後半には達していない(日本創傷外科学会HPより)。
タブレットスタイルの場合は、底面が直接外部に面しないため、手で直に持つことはない。本体の発熱については、使用にほとんど影響しないレベルだ。
また、騒音計で測定した音量についても、暗騒音(ある環境のなかで、測定したい対象の音が発生していない状態)とほとんど変わらない。教室での一斉使用に限らず、静かな図書館やカフェなどでも、本体から発生する音量で委縮する必要は全くない。
充実したインタフェースを搭載できて「しまう」ボディ
本体に搭載するインタフェースは、USB 3.0 Type-C(AC兼用、Power delivery 3.0対応、Display出力機能付き)、USB 3.0 Type-A×2基(1基はパワーオフUSB充電機能に対応)、HDMI出力(Standard A)、そして、ヘッドホン&マイク端子とmicroSDスロットを備える。
無線接続インタフェースでは、IEEE802.11axまでカバーするWi-Fi 6(2.4GHz対応)とBluetooth 5.0を利用できる。
本体には、ディスプレイ上側とキーボード上側(ディスプレイヒンジ側)の2カ所にカメラを内蔵する。ディスプレイ上側は720p対応で有効画素数が約100万画素となり、Web会議用のインカメラとして使える。
キーボード上側のカメラは、タブレットスタイルで背面にあるメインカメラとして使える場所になる。1080p対応で有効画素数は約500万画素だ。こちらのカメラはオートフォーカス機能を有する。
一方、ディスプレイ上側のカメラはオートフォーカス機能を持たないが、モノラルマイクを組み込んでいる。
キーボードは、キーピッチが約19ミリ(キートップサイズは実測で14.5ミリ)、キーストロークが約1.6ミリそれぞれ確保している。
マシンインタフェースとしては、キーボード以外に、ディスプレイに組み込んだタッチパネルのほか、本体ホルダーに収容できる、筆圧感知対応のデジタイザペンを利用できる。
また、キーボードにかぶせて使う「タイピングカバー」も用意。タイプで使う指ごとにキートップを色分けしてタイピングの参考にできるほか、「Enter=エンター」「Esc=エスケープ」「Alt=オルト」のようにキーの読み仮名も記載している(残念ながら「~」「*」には読み仮名記載なし)。
サイズが11.6型のディスプレイはパネルが光沢仕上げなので周囲が映り込む。1,366×768ドットと、このサイズのディスプレイ搭載モデルとしては最も多い解像度だ。
それでも最近では、11.6型サイズでも横方向の解像度で1,920ドットというモデルが増えており、加えて、WebサービスでもフルHDを前提としたコンテンツが増えているため、1,366×768ドットの解像度では不便に感じることが多くなるかもしれない。
ただ、LAVIE N11が想定する、教育現場という閉じた、かつ、ある程度“枯れた”ハードウェアを利用することを前提として、コンテンツを使う状況であるなら、1,366×768ドットの解像度でも不便を感じることは少ないだろう。
教室で使いやすい形状と卒業するまで耐えるだろう堅牢性
LAVIE N11はディスプレイが360度開くフリップタイプの2in1 PCだが、NECPCでは、グループPCベンダーのレノボ・ジャパンと同様に、ディスプレイを開く角度によって「ノートPCスタイル」「スタンドスタイル」「テントスタイル」「タブレットスタイル」といった4タイプの利用形態を訴求している。
このうち、テントスタイルは、教科書やノート、文具などと共存してPCのために割けるスペースが確保しにくい生徒用机であっても、わずかな面積でPC設置スペースを確保して、タッチ操作やデジタイザペンでPCを活用できる。このため、教育現場における使い勝手という意味で、有効性が高い。
あわせて、米国防省調達基準で日本でも堅牢性の指標として示されることが多い「MIL-STD-810H」に準拠した堅牢試験と、面耐圧150Kgfクラスの加圧試験をクリアしていることは、扱いが雑になりやすい学校現場で卒業までの長期にわたり使い続けることを考えた場合、このPCを選択する理由の一つになるだろう。
ただし、1点だけ注意を。校外学習や野外学習などで持ち歩く機会が多いことが想定されるが、LAVIE N11の本体重量は1.34キロと、タブレット端末と比べると“かなり”重い。特に小学生など、まだまだ非力なユーザーに長時間使わせることは難しそうだ。ここは注意が必要だろう。