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ツイート内容を無断で書籍化可能?コンテンツ著作権の取り扱い時に何を注意すべきか
ウェブサービス「twitter(以下、ツイッター)」の機能”ハッシュタグ”を使用して多数の投稿者がツイートしあった内容を、一部の投稿者がイラスト付きの本にする企画が他の投稿者などから問題視され本の発売が凍結されたという事件が起きた。このような問題はパソコン通信の掲示板の時代から20年来繰り返されているが、ネット時代では、メディア関係以外の企業でも、コンテンツの著作権、個人情報の扱いにおける配慮やルールづくりは欠かせない。事件を契機に注意すべきポイントを改めて考えてみよう。
フリーランスライター 中尾真二
フリーランスライター 中尾真二
フリーランスライター、エディター。アスキーの書籍編集から、オライリー・ジャパンを経て、翻訳や執筆、取材などを紙、Webを問わずこなす。IT系が多いが、たまに自動車関連の媒体で執筆することもある。インターネット(とは言わなかったが)はUUCPのころから使っている。
ハッシュタグ本の企画でネット炎上、出版無期延期へ
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コミュニケーションツールとして不動の地位を築いているツイッター。その機能のひとつに”ハッシュタグ”というものがある。発言内に「#○○」と入れて投稿すると、そのタグつきの発言が検索画面などで一覧できるようになり、同じイベントの参加者や、似通った興味を持つ人のさまざまな意見が閲覧しやすくなる機能だ。 ひとつのテーマ(お題)について、多数が投稿しあうというコミュニケーションメディアとして機能しているツイッター。事件は、このハッシュタグで盛り上がっている一連の投稿を書籍として出版するという話から始まった。 元のハッシュタグ「#アホ男子母死亡かるた」は、息子を持つ母親の育児体験、思春期の息子との対峙からくる悲喜をかるた風に投稿するというものだ。 このハッシュタグに自作イラストとともに投稿していた人物を著者とする書籍が発売されることになった。しかし、この企画が公になると、最初にハッシュタグを作った人(この人の周辺でも書籍の話はあったようだが、仕事が忙しいなど理由で実現していなかった)や他の投稿者に何の連絡もなく進められているとして「炎上」した。出版社のサイトには「あなたの投稿がマンガになります」として、元のハッシュタグと類似のハッシュタグへの投稿が案内されていたことも問題視された。 この騒動が起きた後、出版社は謝罪文とともに当該書籍の出版を無期延期とする発表を行っている。出版社はなぜ企画にゴーサインを出したのか
ネットコンテンツの商用利用に関する問題は、20年前のパソコン通信の掲示板時代から何度も繰り返されている。企業やユーザーは学習能力がないのだろうかと思いたくなるが、ネット上のコミュニケーションや情報公開のプラットフォームが常に変化しており、その中で過去の事例だけで現在に最適な判断を下すのは難しいのも事実だろう。 まず、この問題でだれが一番の責を負うべきだろうか。直接の問題が出版企画である以上、出版社の責任は免れないだろう。著者は企画を提案した担当者からは法的な問題はクリアされていると説明を受けたという。 では、出版社側が法的に問題ないと下した根拠はなんだろうか。公表された謝罪文によれば、当該ハッシュタグを最初に作った人、投稿していた人たちの個別の確認や許可はとっていないが、ツイッターの利用規約から(ツイートされる内容は二次利用等が前提とする旨が書かれていることなどから)書籍化は可能と判断したようだ。【次ページ】ツイートの著作権は誰のもの?知財管理 ジャンルのトピックス
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