Rocket LakeのCore i5-11400をベースにパーツをチョイス
実際にパーツを選択する上で問題になったのは、最近のPCパーツは一昔前と比べると明らかに上昇傾向にあることだ。こうした傾向がとくに目立つのがビデオカードで、最新世代のミドルレンジ製品であっても何と10万円コースとなってしまう。
さすがにビデオカードだけにそこまで予算を振り分けるわけにはいかないし、そもそもここまで割高の状況でビデオカードを購入するのは得策ではない。というわけで、今回は「ひとまずはCPU内蔵GPUを利用していずれはビデオカードをゲットする」というプランとした。どうしても今必要ならビデオカードを足すもよし、ガマンできるならもう少しだけ状況が落ち着いてから買い足せばよいのだ。こうした自由度の高さは、自作PCのメリットの一つである。
カテゴリー | 製品名 | 実売価格 |
CPU | Intel Core i5-11400(6コア12スレッド) | 25,000円前後 |
MB | ASUSTeK PRIME B560M-A(Intel B560) | 14,000円前後 |
メモリ | Micron Crucial CT2K8G4DFS832A(PC4-25600 DDR4 SDRAM 8GB×2) | 11,000円前後 |
SSD | Western Digital WD_BLACK SN850 NVMeWDS100T1X0E[M.2(PCI Express 4.0 x4)、1TB] | 25,000円前後 |
PCケース | Cooler Master MasterBox MB400L With OddMCB-B400L-KG5N-S00(microATX) | 6,500円前後 |
電源ユニット | FSP HEXA 85+ 650W(650W、80PLUS Bronze) | 6,000円前後 |
CPUクーラー | Cooler Master Hyper 212 EVO V2RR-2V2E-18PK-R1(12cm×1、サイドフロー) | 5,000円前後 |
光学ドライブ | ASUSTeK DRW-24D5MT(DVDスーパーマルチ) | 2,500円前後 |
PCの要となるCPUは、Intelの「Core i5-11400」を選んだ。Rocket Lakeアーキテクチャを採用した第11世代CoreシリーズのCPUで、6コア12スレッドに対応して動作クロックは2.6GHz、Turbo Boost時は4.4GHzまでアップする。書類作成や資料の閲覧、ビデオ会議などテレワークでよく行なわれる作業なら、十分以上に対応できる。
またこの世代のCore i5では内蔵GPUが刷新されており、グラフィックス描画性能が大きく向上している。軽めのゲーム、たとえば描画が軽いアクションや、ターン制のシミュレーションゲーム、リアルタイム操作のない箱庭育成モノ、カードゲームなどのテーブルゲーム系などであれば、解像度やグラフィックスの設定を調整すればプレイ可能なものも多い。
同じ6コア12スレッドの選択肢としては、AMDの「Ryzen 5 5600X」という選択肢があるが、こちらは内蔵GPUを搭載していないのでビデオカードが必須。価格も41,000円前後と高い。こうしたことを踏まえると、今回のような低価格プランだとIntelのCore i5-11400は非常に強力な選択肢となる。
マザーボードはASUSTeKの普及モデル「PRIME B560M-A」をチョイス。実売価格は14,000円前後マザーボードはASUSTeKの「PRIME B560M-A」だ。チップセットにはIntel B560を搭載し、位置付けとしては下位モデルに近い製品だ。しかし消費電力の大きい第11世代Coreシリーズを安定してドライブできる高品質な電源回路や、PCI Express対応のNVMe対応SSDを組み込めるM.2スロットを2基装備する。
ステンレスのカバーで覆われたPCI Express拡張スロットにも注目したい。高性能だが重くて大きなビデオカードを組み込んでも、カードが歪んだりしないようにしっかりと支えるためのものだ。このほかUSB 3.2 Gen 2x1対応で10Gbpsの帯域に対応するType-Cコネクタを装備するなど、拡張性も充実している。
Western Digitalの「WD_Black SN850 NVMe WDS100T1X0E」。実売価格は25,000円前後SSDは、Core i5-11400+B560チップセット搭載マザーボードがPCI Express 4.0に対応したことを受け、ハイレベルな製品を投入。Western Digitalの「WD_Black SN850 NVMe WDS100T1X0E」だ。容量は1TBで、PCI Express 4.0 x4に対応するNVMe対応SSDである。シーケンシャルリードは何と7GB/s、シーケンシャルライトも5.3GB/sに達しており、Windows 10やアプリ、ゲームの使用感アップに貢献してくれる。
マザーボードのPRIME B560M-Aでは、CPUソケットに近い位置に装備するM.2スロットがPCI Express 4.0 x4に対応しており、このSSDの性能を100%引き出せる。また冷却性能を高めるためのヒートシンクもあるので、SSDが搭載するコントローラの温度が上昇し過ぎてリード/ライト性能が低下する状況にも陥りにくい。
メモリはMicronの「Crucial CT2K8G4DFS832A」。実売価格は11,000円前後Cooler Masterの「Hyper 212 EVO V2 RR-2V2E-18PK-R1」。実売価格は5,000円前後メモリはMicronのPC4-25600対応メモリ「Crucial CT2K8G4DFS832A」。8GBモジュールの2枚組パッケージだ。CPUクーラーはCooler Masterの「Hyper 212 EVO V2 RR-2V2E-18PK-R1」、やや細身のヒートシンクに、12cm角ファンを組み合わせたサイドフロータイプのCPUクーラーだ。
PCケースはマザーに合わせてmicroATXの「MasterBox MB400L With Odd」、電源は将来性も考慮して650Wの「HEXA 85+ 650W」を選択。さらにあらゆるメディアに対応できるよう光学ドライブ「DRW-24D5MT」も追加したこのほかPCケースはCooler MasterのmicroATX対応モデル「MasterBox MB400L With Odd MCB-B400L-KG5N-S00」、電源ユニットはFPSの650Wモデル「HEXA 85+ 650W」を選択した。ビデオカードなしのPCなら、もっとコンパクトなPCケースにもっと出力の小さい電源でもよいのでは?という意見もあると思うが、将来的なパーツの追加・交換を考慮して、耐用年数が長くなるこれらの2つについては、スペックに余裕があるものを選択した。
また、光学ドライブを組み込めるタイプのPCケースなので、ASUSTeKのDVD Multiドライブ「DRW-24D5MT」も組み込んでいる。一般的にはCDやDVDなどの光学メディアを使う機会は減っているが、セキュリティの都合などでオンラインではなく光学メディアを使って資料をやり取りする機会がゼロになったわけでもない。そうした場合でも、今回の自作PCなら問題なく対応できる。
3基のディスプレイ出力端子は、いずれも4K解像度と60Hzのリフレッシュレートに対応microATXプラットフォームをベースにパーツを選択したため、一般的なミドルタワーケースよりもコンパクトで、置き場所に困らない。搭載するディスプレイ出力端子は、DisplayPortが1基、HDMIが2基という構成。
今回のようにCore i5-11400と組み合わせる場合、いずれの端子も4K解像度でリフレッシュレート60Hzの出力に対応する。机の上にディスプレイが2台というのは大げさに思えるかもしれないが、作業スペースが単純に広がる、ディスプレイごとに作業を振り分ける(こっちは文書作り、こっちは資料閲覧)、などのメリットは非常に大きい。場合によっては、CPUやSSDを強化するよりも作業効率が上がるなんてこともあり得る。スペースが許すならぜひお試しを。
組み立て終わったPCを左側面から見たところ。ケーブル類を裏面に整理しているので、内部はスッキリ。大型ビデオカードを増設する余地もある