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クラウドPC「Windows 365」を使ってみた。導入方法や条件を解説。月額2,720円から

Windows 365はテレワーク需要を見込んだ法人向け仮想デスクトップ

 Windows 365は、急増するテレワーク需要を見込んで、仮想デスクトップサービスのハードルを下げた戦略的なサービスだ。

 仮想デスクトップサービスは、クラウド上の仮想マシンで動作するWindows 10をリモートデスクトップクライアントやブラウザを使って遠隔操作できるサービスで、企業向けのクライアントなどに従来から利用されてきた技術だ。

 Microsoftが提供するクラウドサービスのAzureでも、「Azure Virtual Desktop」(旧Windows Virtual Desktop)として提供されていたうえ、極端な話、Azure上に仮想マシンをホストしてリモートデスクトップで接続することで、個人でも利用可能だった(Azure Bastionを使えばブラウザ経由アクセスも可能)。

 しかしながら、これらのサービスは利用するためのハードルが高く、中小規模の組織や個人事務所などでの導入には適していなかった。

 従来のソリューションの課題は大きく分けて2つある。

構築の課題

 Azure Virtual DesktopではアカウントをAzure ADと同期するためのActive Directory環境が必要で、ローカルのActive DirectoryをVPNで接続して同期したり、Azure上にAzure AD Domain Serviceを構築する必要があった。

クラウドPC「Windows 365」を使ってみた。導入方法や条件を解説。月額2,720円から

 一方、仮想マシンではAzure ADでサインインするために仮想マシン側の設定やロールベースの許可が必要で、さらにブラウザ経由でアクセスするためのAzure BastionではAzure AD認証が使えないという欠点があった。

Azure Virtual Desktopは、Azure上での設定が必要なだけでなく、AD環境との接続が必要だったり、初心者にはハードルが高かった

費用の課題

 Azure Virtula Desktopや仮想マシン+Bastionなどでも、月額の料金はある程度決まっているため(時間単位での課金なので月720時間を上限に検討できる)、想定がしにくいわけではなかった。

 例えば、CPU 2コア、メモリ4GB、一時ストレージ8GBの仮想マシンの「B2S」が月額36.21ドルなので、今回のWindows 365とさほど変わらない価格で利用することができる。

 ただし、これに加えて、ストレージの保管料(Standard SSDの128GBで9.6ドル)が端末ごとに掛かったり、ネットワークの転送量に応じた料金が掛かったりする。

 また、環境によっては、構築の課題の時に述べたAzure AD Domain Service(月額109.5ドル)や、Azure VPN(ローカルと接続する場合)、Azure Bastion(月額138.7ドル)などの料金も必要になる。

個人で使いたいなら仮想マシンを使ってリモートデスクトップで接続する手もある。ただし、Bastionなどを組み合わせたりするとコスト的に高くなる

 こうした課題を解決したのが、今回のWindows 365だ。BasicのCPU 2コア、メモリ4GB、ストレージ128GB構成でユーザーごとに月額4,210円の固定というリーズナブルな価格で利用できるうえ、環境の構築がとにかく簡単にできるようになっており、ADとの連携を考慮する必要がなかったり、Bastionと同じようなHTTPSからRDPへの転送が最初からできるようになっている。

 なお、CPU 1コア、メモリ2GB、ストレージ64GBの構成では月額2,720円の最小価格で利用できる。

Windows 365 Businessの料金例

 仮想マシンのデプロイなどは本当に楽で、Microsoft 365の管理を経験したことがある人なら分かると思うが、管理センターからユーザーのプロパティを開き、Windows 365のライセンスを割り当てるだけで、自動的に仮想デスクトップのデプロイが開始される。

 細かな点だが、ユーザーが仮想マシンに接続するときも、わざわざ「AzureAD¥●●@××.onmicrosoft.com」などとログイン先を指定する必要もない。

 要するに、今まで、「微妙に面倒くさい……」と思わされていた点が、Windows 365という衣でまるっと包まれたことで、管理者もユーザーも意識しなくて済むようになったわけだ。