(前回からのつづき)恐ろしいことに5Gのユーザー体験は米国よりも国外の方がよいだろう。 今年初めにOpensignalが発表した5Gパフォーマンスに関する調査によれば、米国の5Gを取り巻く環境は他の国と比べ大きく遅れをとっており、5Gの下り速度は国内の一般的なWi-Fiの速度よりも遅くなっている。アメリカの5Gの下り速度の平均は52.3Mbps程度と見込まれているが、これは韓国の平均的な4G回線よりも遅く、韓国及びサウジアラビアの平均的な5G回線の下り速度の20~25%程度だ。
さらに同Opensignalの調査によると、米国の5Gの下り速度は平均すると4Gのたった1.4倍の速さだが、14.3倍の速さとなる場所もあった — 概ね7倍弱程度となるのが最も一般的なようだ。 5Gインフラが未整備な国もまだ多く、米国の5G環境が最悪であるかは断言することができないが、少なくとも5Gがない場所よりもある場所の方が「変革的な」体験の提供へとはるかに近づいていることは確かである。
では一体なぜアメリカが5Gで遅れを取っているのか?米国以外の多くの国の通信キャリアは5Gのレイヤーケーキ(ロー/ミドル/ハイ バンドの3層構造)について苦悩する代わりに、このレイヤーケーキのミドル層をできるだけ多くの場所で利用できるよう適切にカバーエリアを広げていくことにフォーカスしている。 「Sub-6GHz」に対応している5Gのスマートフォンは、ローバンドおよびミドルバンドの5G基地局に接続でき、「Sub-6GHzおよびミリ波」に対応している5Gのスマートフォンであればさらに、ハイバンドの基地局にも接続することができるからだ。そのため現時点でAppleがiPhone 12 Proのみでサポート予定のミリ波対応ハードウェアから恩恵を受ける人はほとんどいない上に、このハイバンド層への接続に関する制約は何年にもわたり特に問題にならない可能性もあるだろう。
Appleの歴史上、これまでiPhoneのイベントでデバイスの実際のセルラーパフォーマンスについて議論することに多くの時間が費やされたことはなく、代わりに「ギガビット級LTEに対応」のような話題を取り上げて、それがどこで利用できるかに関わらず、その高速なパフォーマンスを語る傾向にあった。しかし、Appleが今回テクノロジーをどのように売り出すかに関係なく、5G対応は新しいiPhoneにおける重要な関心事であることは間違いない。AppleがIntelと決別し、代表的な5GチップメーカーであるQualcommとの法定闘争を終了させるのに十分値する程だ。
このイベントに「Hi,Speed」という名前を付けることで同社は、iPhoneの5Gパフォーマンスに関するトピックを取り上げ、ディスカッションと詳細な調査を行っている。 私からのアドバイスは、モデル、キャリア、国ごとの違いを含め、Appleが何を約束し、何を約束しないかという点に細心の注意を払うべきということだ。 iPhoneの人気により「Hi,Speed」イベントが5G時代の真の始まりになると何カ月も前から予測している人もいるが、Appleのやり方次第では、その大部分がまだ実現されていない約束についてを謳うだけの、誇大広告パレードをただ傍観するだけになってしまうだろう。(次につづく)
【via VentureBeat】 @VentureBeat
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