中国の通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)は8月6日、2021年1~6月期の半期決算を発表した。それによれば、売上高は前年同期比29%減の3204億元(約5兆4372億円)、純利益は同25%減の314億元(約5329億円)にとどまり、大幅な減収減益となった。
事業分野別では、業績悪化が最も深刻だったのはスマートフォンを含むコンシューマー事業だ。1~6月期の売上高は1357億元(約2兆3028億円)と、前年同期比47%も落ち込んでしまった。(通信基地局など)通信事業者向けネットワーク事業も、売上高は1369億元(約2兆3232億円)と同14%減少した。一方、クラウドコンピューティングを含む法人向けITソリューション事業は、売上高が同18%増の429億元(約7280億円)と力強い成長を示した。
ファーウェイは、今回発表した業績について「想定の範囲内」としている。「コンシューマー事業は外的な要因により売り上げが減少したが、年間を通じてみれば、ネットワーク事業と法人向け事業は安定成長を確保できるだろう」。同社の輪番董事長(会長に相当)を務める徐直軍氏は、決算開示のプレスリリースでそう自信をのぞかせた。
徐氏の言う「外的な要因」とは、2020年8月にアメリカ政府が発表したファーウェイに対する制裁の強化だ。これにより、ファーウェイは同年9月15日以降、最先端の半導体の調達が困難になった。アメリカの半導体メーカーからの購入はもちろん、自社設計したチップの製造を台湾積体電路製造(TSMC)などアメリカ以外のファウンドリー(半導体の受託製造サービス企業)に発注することもできなくなってしまった。
スマホに代わり自動車事業に全力
ファーウェイにとって、スマホは総売上高の約半分を占める最大の稼ぎ頭だった。しかし半導体の調達難により、同社のスマホの出荷量は大幅な減少を余儀なくされた。その結果、ファーウェイの四半期ベースの売上高は2020年10~12月期以降、すでに3期連続で減収となっている。
本記事は「財新」の提供記事ですその分を取り戻すべく、ファーウェイは自動車事業の拡大に全力を傾けている。同社のコンシューマー事業のCEO(最高経営責任者)を務める余承東氏は、2021年4月の上海モーターショーで次のように語った。
「スマホは買い替え頻度が高く、堅実な需要があり、大量に販売される高価格な商品だ。その穴を埋めることができる商品は『スマートEV(電気自動車)』をおいてほかにない」
(財新記者:張而弛)
※原文の配信は8月6日
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