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東芝「Libretto ff 1100V」

元々趣味性が強かったLibrettoを突き詰めたモデル

 Librettoシリーズ(以降、Librettoシリーズで言う場合はff 1100Vまでを指す)は、趣味性が高いモバイルPCであることに疑いの余地はないだろう。2001年に大きフォームファクタが変わった「Libretto L」シリーズでは、本体サイズが犠牲となった代わりにキーボードの使い勝手が格段に向上し、ビジネス色が濃くなったが、Libretto 20からLibretto ffまでは、趣味を究極に突き詰めたと言っても過言ではない。

東芝「Libretto ff 1100V」

 もちろん、Libretto 20/30はそもそも音源を搭載していなかったので音すら再生できなかったし、以前譲って頂いたLibretto 30にはビジネスでバリバリ使われた痕跡があったことから、少なくともビジネスで使えないことはない。しかしもし筆者が、当時誰かの上司で、「Librettoを仕事で使うので会社で買ってください!」と出金伝票を出されたとしても、ハンコは押さないだろう。十年早いが、BYODでお願いしたいところである。

 Libretto ff 1100Vは、Libretto Lが登場するまで、1年半のブランクが開く前の最終モデルである。初代からの流れを汲むLibrettoのコンセプトと粋が、全てこのモデル詰まっている。

 本体サイズは221×132×29.8~32mm(幅×奥行き×高さ)、重量は980gと、シリーズ内では最もフットプリントが大きく重い。先代に当たる「Libretto SS 1000」では厚さが24.5~25.4mmに薄型化されていたので、そのトレンドが続くと思ったが、また祖先帰りしている。

 ただしこの大きさで実現可能な、当時で考えうる最高スペックの部品を搭載しており、性能は大きく向上した。例えばCPUはMMX Pentium 266MHzを搭載。メモリは64MBもあり、最大128MBまで拡張可能。HDDは6月発表の「Libretto ff 1000」こそ3.2GBしかないが、10月発表の本製品(ff 1100V)では6.4GBに向上。液晶ももちろんシリーズ最大(と言ってもLibretto 100/110と同じだが)となる、800×480ドット表示対応の7.1型TFTとなっている。ちなみにこの液晶は大変美しく、今なお色褪せない。

 当時は既にモバイル向けのPentium IIが登場しており、CPUクロックも400MHz超が当たり前であったので、決してハイエンドの部類とは言えなかった。2000年にモバイルPentium IIIが投入されると、Libretto ff 1100Vは半値以下で販売される(10万円を割る)こともあった。とは言え、当時のホビー用途では十分すぎる性能だった。