新型コロナウイルス感染症対策により、大学生は2020年春からオンライン授業へと切り替わりました。その後も対面授業の実施に踏み出す大学が少ないため、文部科学省は再三にわたって大学に対面授業を求める通知を出しています。
2020年4月に入学した学生の中には、自分の大学の敷地に入ったことがない人もいるでしょう。努力して合格した大学に通い、興味ある講義を受け、友達をつくり、サークル活動にいそしむはずが、感染症対策でほぼ自宅からオンライン授業を受ける生活へと変わってしまいました。
しかし、当の学生たちは全てをマイナスに捉えているわけではないようです。富士通クライアントコンピューティング(FCCL)が2021年3月に発表した「コロナ禍を経験した現役大学生のパソコン利用に関する調査2020」によると、学生の42.7%が、「オンライン中心の学生生活は、自分に合っている」と回答しています。日本財団が2020年12月に発表した「18歳意識調査」(調査対象は17~19歳男女)※1でも、デジタル化の活用を進めてほしいものとして1位に「オンライン授業」(35.9%)が挙がっています。対象の学生の多くがオンライン授業を経験済みである時期に行われた調査であるため、オンライン授業は支持されていると考えて間違いないようです。
※1 https://www.nippon-foundation.or.jp/what/projects/eighteen_survey
しかし、FCCLの調査では、「オンライン生活において、友人・知人・先輩との交流が減った」(50.7%)、「オンラインでのコミュニケーションは、意思疎通が難しい」(45.7%)と、オンライン化による交流面での不満も抱いています。無理もありませんよね。
オンライン授業でPC利用
オンライン授業に必須のパソコンですが、今の大学生は中学生のときからスマホを持っていた世代。2019年3月に日本マイクロソフトによる「大学生に、ノートPCはいらない。」と題した「Microsoft Surface」の広告が思い出されます。この広告には「大学生になることが、ゴールの人たちにとっては。」とただし書きがあり、スマホで十分と考える人たちにパソコンの価値を問い掛けています。当時現役大学生だった監督が作った広告です。
コロナ禍の現在は、改めて考えずともパソコンが必要です。大学へのレポート提出、オンライン授業の視聴、ゼミや研究室での研究活動にとパソコンを使用しています。FCCLの調査では、48.2%の学生が「週に6~7日程度(ほぼ毎日)」使っているとのこと。学業での利用がメインとなっていますが、毎日であればプライベートでも活用しているでしょう。
大学生が持っているパソコンメーカーも調べてみました。テスティーが調べた「パソコン・ネットリテラシーに関する調査」※2によると、1位が富士通(17.7%)、2位がアップル(16.3%)、3位がマイクロソフト(15.3%)、4位が東芝(現Dynabook、11.2%)だそうです。割合を見ると、メーカーがばらけていることや、あまり差がないことが分かります。
※2 テスティー パソコン・ネットリテラシーに関する調査【学生対象】( https://lab.testee.co/pc-result_2020)オンライン授業ではクラウドサービスもよく使われており、もはやOSの違いなどは気にしなくてもいいのかもしれません。2021年度も対面授業が始まらない学生が多そうですが、スマホと同様にパソコンにも慣れ親しんでほしいですね。
出典:日経パソコン、2021年4月26日号、同名コラムより記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。[画像のクリックで別ページへ]