Microsoftは、Office、Xboxに続いて、Windowsをクラウド化しました。
Windows 365サービスでは、Netflixのように、WindowsデバイスをMicrosoftのサーバーから直接ストリーミングできるようになりますが、それは仕事用のPCにも当てはまります。
サーバーファームとは異なり、これらはWindowsマシンの個々のインスタンスとなり、カスタマイズ可能な独自のアプリとユーザーデータを実行し、スマホやタブレットを含むあらゆる端末でストリーミングすることができます。
映画をストリーミングできるインターネット接続があれば、Windowsもストリーミングできるのです。
クラウドPC「Windows 365」とは?
Windows 365を使用すると、企業は最大300人分のユーザーアカウントを作成し、それぞれに専用のWindows PC(現在はWindows 10、リリース後はWindows 11)のインスタンスを提供することができます。
料金プラン
料金プランは、シングルコアの仮想CPU、2GBのRAM、64GBのストレージを搭載した場合、月額3260円/ユーザー(Windows ハイブリッド特典でWindows 10のライセンスを取得している場合は2720円)から。
デュアルコアの仮想CPU、4GBのストレージ、64GBのストレージのプランは、月額4350円/ユーザーからとなっています。
そして、ここから一気に料金が上がります。最上位の8コアの仮想CPUに32GBのRAMと512GBのストレージを搭載すると、月額2万2010円/ユーザーになります。
Windows 365のメリット
とはいえ、Windows 365はかなりユニークなサービスです。
Windows をデータセンターで稼働させるサードパーティのサービスはありますが、Microsoft のように統合された体験を提供するところはありません。
アカウント管理者は、Windows 365の場合はユーザーのセットアップのためにすることがかなり減ります。
管理インターフェイスにログインし、インスタンスを作成し、ユーザーに割り当て、ビジネスのニーズに基づいてカスタマイズするだけです。
Windows 365が、インスタンスのインストールと作成、ソフトウェアの更新、OSの更新プログラムのインストール、セキュリティ問題へのパッチ適用などの面倒な作業をしてくれます。
Windows 365でできること
月額4350円は高い感じがするかもしれませんが、Windows 365に登録すると次のようなことができるようになります。
セキュリティパッチを含むソフトウェアの更新を自動的かつ安全にインストールする。
デバイスのセットアップや監視や更新をするために、ITチーム全体が必要になることはない。Microsoftがバックグラウンドで各インスタンスの設定を行なう。
Microsoftのデータセンターのインターネット接続は、10Gbpsのスピードに達するなど実に高速。ファイルのダウンロードやアップデートなど、一瞬にして完了する。
Windows 365は、どのデバイスのどのブラウザでも動作する。さらに、iPhone、iPad、Android、Mac、Windows用に専用のMicrosoftリモートデスクトップアプリが用意されている。
また、どのデバイスからWindows 365にアクセスしても、コンピューターは同じ状態で同じデータを提供する。
Windows 365 は、企業のビジネス要件に合わせて拡張することが可能。基本構成でスタートし、ニーズの変化に応じて、RAM、コア数、ストレージを増やすことができる。
高い料金をかけてWindows 365を使用すべきか?
果たして、お金を払ってもWindows 365を使用すべきでしょうか? そう考えると、Windows 365は誰のためのものか?という疑問が生じます。
これは一般ユーザーや個人事業主のためのサービスではありません。Microsoftがこのサービスを提供しているのは、法人のクライアントだけです。さらには、法人といってもこのサービスが完璧にフィットするケースは非常に限られます。
まず、このサービスは300人のユーザーしかサポートしないので、大企業は対象外です。大企業が独自のWindowsインスタンスをホスト/コントロールしたい場合も同じ理由で、Windows 365では不可能です。
結局のところ、Windows 365は、あまり社員の多くない企業が、あらゆることに関してシームレスなエクスペリエンスを重視する場合に適しています。
社員数は数十人で、チームがあちこちに分散している会社を経営していて、すべてのユーザーのWindowsエクスペリエンスを(大規模なITチームを介さずに)自分でコントロールしたいと考えている人には、Windows 365の導入は得策かもしれません。
安いノートPCを社員にあてがっても、Windowsエクスペリエンス全体がクラウド上で実行されるので問題ありません。ただし、ユーザー1人あたり月額3000~4000円超かかることが気にならなければ、ですが。
Windows 365より安価な「代替案」は?
上記のシナリオは非常に狭い範囲の法人にしか当てはまらず、そう考えても費用対効果はそれほど良くありません。
3年後を想定した場合、2コアの基本プランでは、1ユーザーあたり合計15万6600円かかります。Dellのほどほどのノートパソコンなら、十分に手に入るでしょう(整備済モデルならもっと安くなります)。
社員にリモートデスクトップ機能を提供する必要が本当にある場合は、AnyDeskのサブスクなら1ユーザーあたり月額9.99ドルです。ユーザーエクスペリエンスを完全にコントロールする必要がある場合は、MicrosoftのAzure Virtual Desktopを使えば、カスタムのWindows 10クラウドPCを作成してホストすることができます。
どのようなビジネス上の決定もそうですが、この場合はコストを考慮して決めることになるのかもしれません。自分にとってベストな選択かどうか、コストをしっかり計算してから決めてください。
Source: Microsoft(1, 2),YouTube, AnyDesk