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「いい勉強法」をしている人はノートをどう使うか

「ノートを使う勉強法って、どうやればいいのかな?」「ノートをまとめるのに、もっといい方法はないかな?」

そんなあなたのため、ノート・ルーズリーフを使った勉強法をご紹介します。

ノートづくりは勉強の基礎。賢いノートテクニックを知っておくと、効率よく知識をインプットできますよ。

そんなあなたは、これからご紹介するノート術や勉強法を実践してみてください。

  • ノートを使った「いい勉強法」5選
  • ノートをつくったあとは……
  • ノートを使った「いい勉強法」のポイント

    まずは、ノートを使った「いい勉強法」のポイントを解説します。

    未来の自分が読めるように

    「自分が読めさえすればいいよね」という考えでノートをまとめていませんか? そのようなスタンスで書かれたノートは、自分でさえ読めない代物になってしまいます。

    ノートを読み返すのは、勉強の記憶が薄れた「未来の自分」です。記憶が新鮮な「いまの自分」ではなく、数日~数週間後の「未来の自分」が理解できるかを考えてください。

    『東大家庭教師の結果が出るノート術』(あさ出版、2015年)を著した吉永賢一氏は、復習時に記憶が蘇りやすいノートのポイントをふたつ挙げています。

    1. 誰が読んでもわかる言葉で
    2. 丸写しせず、自分の言葉にかみ砕く

    この2点を意識すれば、「未来の自分」に親切なノートができますよ。

    書き方を統一

    ノートを書くときは、一定のルールやフォーマットに従いましょう。

    ……などを統一すると、情報の位置づけ・重要性が明確になり、読みやすくなります。

    「テストに出る重要語句=赤」「補足情報=青」と決めておけば、どの箇所がどれくらい重要なのか、ひとめでわかりますね。「いまは赤で書きたいな」「デザイン的に、ここは青ペンにしよう」と気分で決めることは避けましょう。

    自分で決めたルールを忘れてしまいそうなら、最初のページや表紙の裏にメモしておくといいですよ。

    「おもしろい!」と感じたことを書く

    勉強中に「これ、おもしろいな!」と感じたら、ノートのすみや空きスペースにメモしておきましょう。

    ……など、「おもしろい!」と感じた話やエピソードの記憶は鮮明に残るもの。ノートに記録することで、そのとき学んでいた内容も一緒に覚えられます。

    学習内容に関する豆知識は、そのテーマに興味をもつきっかけにもなるので、特に書き残しておく価値が高いですよ。筆者自身、世界史の先生に「シュメール人=宇宙人」という都市伝説を教えてもらったことで、古代メソポタミア史に興味をもった思い出があります。

    情報の背景も書く

    覚えたい情報だけでなく、その背景・理由もしっかりノートに書きましょう。単に事実を書くだけでは、なかなか記憶に定着しません。

    「SDGs=持続可能な開発目標」と暗記するだけでは、ふとした拍子に忘れてしまうかもしれませんよね。「SDGsはSustainable Development Goalsの略だから、訳すと “持続可能な開発目標” になる」とまで押さえておけば、忘れにくいでしょう。

    「SDGsはなぜ必要なのか」「どんな経緯で提唱されたのか」といった背景も押さえておくと、知識が “自分が知っている物事” の文脈に位置づけられ、本質的な理解につながります。

    それではいよいよ、ノートを使う勉強法を具体的に紹介していきますね。

    ノートを使った「いい勉強法」5選

    ノートを用いた効率のいい勉強法として、5種類のテクニックをご紹介しましょう。

    メモリーツリー

    教育事業支援などを展開する株式会社カルぺ・ディエム代表で勉強法に詳しい西岡壱誠氏は、「メモリーツリー」というテクニックを推奨しています。共通・類似する情報を線で結びつけるやり方です。

    上の例では、接頭辞ex-から始まる5つの英単語を線で結びました。こうすると、セットで覚えやすいですね。

    これらの単語は、見た目が似ているだけでなく、意味も共通しています。接頭辞ex-には「外へ」という意味があるためです。知っていれば、ex-で始まる単語を覚えるのが楽になりますね。

    一方で、接尾辞-spectの意味は「見る」です。

     「いい勉強法」をしている人はノートをどう使うか

    上の図では、ex-と-spectの両方を含む「expect」を架け橋とし、ふたつのメモリーツリーを接続しました。このように関連づければ、単語を個別に暗記するよりずっと効率的です。もちろん、専門用語や試験に出るキーワードを覚えたいときにも役立ちますよ。

    「英語の接頭辞と接尾辞、もっと知りたいな……」と思ったら、こちらの書籍をご参照ください。

    英単語の語源図鑑

    Amazon

    由来とつながりがわかる 英単語語源マップ

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    反復練習ノート

    覚えたいことをズラリと書き、間違えた回数を記録していく「反復練習ノート」。現役東大生にして医学部予備校の講師、片山湧斗氏が推奨する勉強法です。

    このようにページを3分割。書き込む内容は以下のとおりです。

    1. 左側:覚えたい語句
    2. 真ん中:復習時に間違えたり、答えられなかったりした回数
    3. 右側:語句の意味・解説

    左側と右側はオレンジのペンで書くと、赤シートで隠しながら復習できます。こうすれば、「これだけ妙に間違えまくってるな……」と一目瞭然ですね。単語カードとは違い、苦手な語句だけ復習できるので、勉強時間の節約にもつながりますよ。

    ご紹介した「メモリーツリー」とあわせ、

    1. 「メモリーツリー」で知識を関連づける
    2. 「反復練習ノート」で知識を記憶する

    ……という流れで学習すれば、効率よくインプットできます。

    間違いノート

    問題演習の振り返りに役立つのが、資格講師の石川和男氏がすすめる「間違いノート」。間違えた/解けなかった問題だけを集めるノートです。

    ノートには、次の項目を書きましょう。

    1. 出典(ページ数や番号)
    2. 問題文
    3. 正答
    4. 自分の誤答
    5. 間違えた原因
    6. 対策(正答を導くための考え方、注意点など)

    「間違いノート」をベースに復習すれば、苦手な範囲を確実に潰せるため、実力がついていきます。

    ただ初めて挑戦する問題集の場合、ほとんどを間違えてしまうことも。「あれもこれもノートに書かなきゃ!」とキリがなくなるため、「2回以上間違えた問題を記録」などのルールを設けましょう。

    コーネル式ノート

    ノートのまとめ方としては「コーネル式」が有名ですね。米コーネル大学の教育学部教授だった、故ウォルター・パーク氏によるテクニックです。ノートを3分割して使います。

    1. 見出し欄:単元の小見出し
    2. 内容欄:見出しに関する詳しい情報
    3. 要約欄:ページの要約

    「見出し欄」のおかげで、どこに何を書いたかひとめで把握できるのがメリット。普段のノートにひと工夫加えるだけというシンプルさに加え、構造が明確な点も、「コーネル式」が支持されている理由です。

    上の図では、見出し欄に「IoTとは?」「IoTで何が実現できる?」「IoTの4要素とは?」という3つの見出しがあり、その右側に、見出しに対応する解説が書かれていますね。「大見出し→小見出し→詳細」とページが階層化されているのです。

    暗記ノート

    知識の整理には「暗記ノート」も役立ちます。資格スクール講師・碓井孝介氏推奨の、3ステップで情報を整理するテクニックです。

    1. しぼる

    まずは、メインとなるキーワードの概要を、1行ほどで簡潔に記入します。知識の「枝葉」を削ぎ落とし、「幹」だけ残すイメージです。些末な情報や冗長な言い回しを削り、本質だけスパッと表しましょう。

    ×冗長な文

    IoTとはInternet of Things(インターネット・オブ・シングス)の略で「さまざまなモノがインターネットにつながること」「インターネットにつながるさまざまなモノ」を指す言葉である。

    ○本質を抜き出した文

    IoTとは、モノをインターネットにつないで便利にする技術である。

    2. まとめる

    次に、キーワードに関する情報を、1本の線のように結びます。先述の「メモリーツリー」と同様、情報をセットにし、記憶の定着や想起を助けるのが狙いです。

    以下のように、IoT→Internet of Things→モノのインターネット……と情報をつなげていくことで、あとから芋づる式に知識を引き出せます。

    IoT→なんの略?:Internet of Things→意味は?:モノのインターネット→具体的には?:家電、自動車、スピーカーなど→これらがどう変わる?:遠隔操作、遠隔モニタリング、自動制御など→どうやって?:モノ、センサー、通信手段、アプリケーション(IoTの4要素)

    3. 図にする

    最後に、情報を図に落とし込みましょう。碓井氏が特に推奨する方法をふたつ紹介します。

    まずは「3点ピラミッド」。覚えたい項目・理由・覚え方の3つをピラミッド型に配置します。

    1. ピラミッドの頂点に「覚えたい項目」を配置
    2. その下に、語句の背景にある「理由」と、自分なりの「覚え方」を記入

    3つの情報をセットにすることで、重要点のみ端的に復習できます。

    次は、論理関係や時系列を矢印で表現する「フローチャート」。作業マニュアルや工程表などで見たことがありませんか?

    「Aが原因でBが起き、それによってCが起きた」ことをフローチャートで表現すると、「A→B→C」となります。より複雑な情報は、川の支流のように分岐させましょう。

    「暗記ノート」は、「しぼる→まとめる→図にする」の3ステップでつくりましょう。複雑な知識がスッキリ整理され、頭に入りやすくなりますよ。

    以上、ノートを使った5つの勉強法を紹介しました。「こんな使い方、したことないや」と違和感を覚えるかもしれません。ですが、試したことのない勉強法に挑戦することで、自分にピッタリ合ったノートの使い方がひらめくかもしれませんよ。

    ノートをつくったあとは……

    最後に、ノートをつくり終わってからの勉強法にも触れておきます。

    ノートをつくることは勉強のゴールではなく、あくまでスタートです。ノートがすばらしくても、そこに書いた知識を自分のものにできなければ意味がありません。

    「よし、ノートが完成した!」と満足せず、さっそく活用しましょう。前出の吉永氏によると、復習時のポイントは以下の3つ。

    何度も口頭復元

    ノートの内容を思い出しつつ、口頭でアウトプットしましょう。特に、体系的な知識を身につけたいとき役立ちます。

    IoTについて復習するなら、ノートの該当ページを思い出しつつ、「IoTとは~である。IoTの4要素は~。注意すべきポイントは~」と要点を口頭で説明。どうしても思い出せないときを除き、ノートは開かないようにしましょう。

    最初は難しいかもしれませんが、何度もトライするうち、スムーズに記憶を再現できるようになりますよ。

    書き足していく

    ノートを読み返していると、「ここ、説明が足りてないな」「あれ、ここってこういうことかな?」と気づきが生まれる場合も。空いている箇所にどんどん追記していきましょう。

    「再読→発見→追記」を繰り返すうち、ノートの品質が高まっていきます。吉永氏によると、ノートにどんどん変化を加えていくことで、復習への “飽き” が防げるそうですよ。

    間違いを消さない

    「あ、ここ間違えてる!」と気づいても、消しゴムや修正液で消さず、線を引いて訂正したうえで正しく書き直しましょう。完全に消去してしまうと、「間違えた」という事実も忘れるためです。

    過去の自分が間違えたということは、今後も同じミスをする可能性が高いということ。間違えた箇所はあえて残し、復習のたびに目に入れれば、ミスの再発を予防できますよ。

    以上、ノートをつくってからの勉強法を解説しました。ノートをつくっただけで終わらせず、ご紹介した勉強法をぜひ実践してみてくださいね。

    ***ノートを用いた勉強法を5つ紹介しました。「学んだことを整理しよう!」「学んだことを覚えなくちゃ」という方は、ぜひご活用ください。ノートづくりに関しては、以下の記事もおすすめです。

    >>【社会人にも対応】勉強ノートのまとめ方>>わかりやすいノートの取り方・6つのルール>>自主勉強・読書に使えるノートの書き方3選

    (参考)吉永賢一(2015),『東大家庭教師の結果が出るノート術』, あさ出版.片山湧斗(2021),『東大生のノートから学ぶ 天才の思考回路をコピーする方法』, 日本能率協会マネジメントセンター.ログミーBiz|東大生は「記憶力がいい」のではなく「暗記の工夫」をしている『ドラゴン桜』でも実践された、“関連付け”の記憶術臼井俊雄(2017),『由来とつながりがわかる 英単語語源マップ』, ベレ出版.西川盛雄(2013),『英語接辞の魅力 ― 語彙力を高める単語のメカニズム ―』, 開拓社.リクナビNEXTジャーナル|この「勉強法」は、やってはいけないLearning Strategies Center|The Cornell Note Taking System総務省|1-1 IoTとデータ利活用の全体像碓井孝介(2016),『頭のいい人は暗記ノートで覚える!』, 三笠書房.

    【ライタープロフィール】佐藤舜大学で哲学を専攻し、人文科学系の読書経験が豊富。特に心理学や脳科学分野での執筆を得意としており、200本以上の執筆実績をもつ。幅広いリサーチ経験から記憶術・文章術のノウハウを獲得。「読者の知的好奇心を刺激できるライター」をモットーに、教養を広げるよう努めている。