米ガートナーがこのほど公表した、世界の情報電子機器市場に関するレポートによると、パソコン、タブレット端末、携帯電話を合わせた、今の世界出荷台数は、22億1000万台となり、前年から横ばいで推移する見通し。
パソコンは8年連続で停滞が続いている。今年のパソコン出荷台数は前年から0.6%減の2億5800万台にとどまると同社は見ている。消費者の間でパソコンの買い替えが進んでいないことがその理由の1つだという。
スマホの買い替えサイクル、さらに延びる見通し
また、スマートフォンを含む携帯電話の今年の出荷台数は、前年比0.5%減の約18億240万台との予測だ。ただし来年は、同1.2%増の18億2500万台と、増加に転じる見通し。
しかし、昨今は消費者が携帯電話を買い替えるサイクルが長くなっている。現在は2.6年となっている新機種の買い替え時期は、今後数年で2.8年に延びると同社は見ている。
ガートナーによると、ここ最近の消費者はスマートフォンの新機種に対し、新しいテクノロジーと利用法を求めている。「もし今後大手各社が市場投入する新モデルに、そうした要素がなければ、消費者は買い替えを躊躇するだろう」(同社)
需要喚起を狙う折り畳みスマホ
そうした中、大手各社は、新たな形態のスマートフォンで、需要の喚起を狙っている。折り畳み式スマートフォンである。
韓国サムスン電子は、今年2月に、同社の折り畳み式スマートフォン「Galaxy Fold」を発表した。この端末は、折り畳んだ状態で従来のスマートフォンのように使え、広げるとタブレット端末のようにも使えるというものだ。
中国ファーウェイ(華為技術)も2月、「Mate X」と呼ぶ、折り畳みスマートフォンを発表した。両社はそれぞれの新モデルをまもなく市場投入したい考えだ。
ただ、ファーウェイについては今後、「Google Play」「Chrome」「Gmail」「YouTube」といった米グーグルの人気アプリを搭載できなくなり、欧州など、中国以外の同社主要市場で打撃を受けそうだ。
ガートナーは「折り畳み式スマートフォンは、再びイノベーションを起こす可能性がある」としながらも、スマートフォン市場に占める比率はごくわずかなものになると予測している。
その出荷台数は2023年時点でも3000万台どまりで、高価格帯スマートフォンの出荷台数に占める比率はわずか5%にとどまるという。
つまり、折り畳み式スマートフォンは、低迷するこの市場を再び活気づける起爆剤ではなく「ニッチな製品」なのだという。ガートナーは、「少なくとも5年間は、ニッチであり続ける」と予測している。
20〜30万円という価格帯が障壁に
その要因の1つは価格だ。サムスンの「Galaxy Fold」は最も安いモデルでも1980ドル(約22万円)、ファーウェイの「Mate X」は2299ユーロ(約2600ドル、約29万円)となる。
これらは、最新技術を盛り込んだ結果、一般的なスマートフォンやタブレットよりも高額になった。ガートナーは、「その代償は大きすぎる」としている。折り畳み式端末の価格は、今後下がっていくことが予想される。しかし、それでもこの形態の端末は、価格が障壁になると同社は指摘する。