◆【皮膚科医が回答】止まらない脇汗や顔汗、気になる臭い!汗・体臭・口臭のお悩みと対策方法
人に相談しづらい脇汗や顔汗、加齢臭やワキガ、口臭などのお悩み。オズモール読者が寄せてくれた質問をもとに、汗や臭いの対策方法について「うるおい皮ふ科クリニック」の院長・豊田先生からアドバイスをもらった。顔汗を抑える工夫や、マスク生活での口臭対策、気になるワキガのセルフチェック方法もご紹介。
Q.脇汗を止める方法、ワキガかどうか自分で判断する方法を知りたい「焦ったり驚いたりすると、一気に脇汗が流れ出てきます」と、お悩みのオズモール読者・きなこさん。人から指摘されたことはないけれど、じつは臭いも気になっていて、ワキガではないか知りたいそう。
「焦りや驚きでの多汗は精神性発汗と言い、脇汗によくみられます。緊張すると脇汗が出始め、意識するともっと出るのでお困りの方は多いです」と、皮膚科医の豊田先生。先生によると、「こまめに脇汗を拭くこと」が脇汗対策の基本だそう。汗拭きシートや、抗菌作用のある制汗剤、汗取りパッドなどいろいろな商品があるけれど、肌質や体臭のタイプは人それぞれなので、自分に合うものを見つけて。
また、汗そのものは無臭だけれど、汗に含まれるタンパク質・脂質・アンモニアなどの分泌物が皮脂と混ざり、脇表面の細菌によって分解されると、体質によっては特有の臭いが出てワキガの状態に。豊田先生が教えてくれたワキガのセルフチェックで重要なポイントは画像の7つだけれど、実は、ワキガかどうかを判断する明確な基準はないのだとか。「医療現場では、本人が悩んでいる現状と担当医師の嗅覚を重視して治療方針を決めます」(豊田先生)
Q.女性の加齢臭と予防方法とは?加齢臭の予防方法を知りたいという、オズモール読者・かずさん。そもそも加齢臭は、酸化した皮脂や、皮膚常在菌が化学変化して生まれる「ノネナール」という成分が主な原因と言われているそう。女性ホルモンの変化によって皮脂が酸化しやすくなったり、体質的にノネナールが多い女性は男性以上に加齢臭が強くなることも。
食生活の面では、油分や動物性タンパク質を摂り過ぎないようにし、抗酸化物質(ビタミンC・ビタミンE・ポリフェノールなど)を含む食事を心がけることが予防につながる。また、頭皮をシャンプーで十分に洗浄し、耳の後ろや首の後ろ、胸元など、加齢臭が出やすい部位はボディソープでていねいに洗って。ただし、殺菌力の強い洗浄剤や洗いすぎは、肌の状態を悪くしたり、さらなる皮脂分泌につながるため注意が必要。「頭皮も体も、洗浄後は乾燥防止のためにしっかりと保湿しましょう」と、豊田先生。
また、加齢臭が出やすい部位は、消臭効果のあるボディペーパーで拭いたり、こまめにデオドラントを使用したりするほか、肌に触れた衣類は毎回洗濯し、枕カバーやシーツなどもこまめに洗濯することを心がけよう。
Q.メイクができないほどの顔汗、どうすればいい?汗は、体温調節、老廃物の排出、皮膚バリア機能の強化といった重要な役割を持っているもの。しかし、必要以上の発汗で日常生活に支障がある状態は多汗症と診断される。「顔の多汗症は、顔面多汗症と言います。多量の顔汗ではメイクもできず、せっかくのメイクも崩れやすくて大変ですよね」と、豊田先生。
顔面多汗症の原因は、発汗をコントロールしている自律神経やホルモンの乱れ、更年期障害のほか、肥満の人では体の内部にこもった熱を放出するための多汗もあるそう。それ以外でいちばん多いのは、全身の汗腺の機能低下により、顔の汗腺の負担が増えているケースなのだとか。エアコンの使い過ぎや運動不足が続き、汗をかかずに過ごしていると、汗腺の働きが弱くなってしまうので注意したい。
顔の汗の対策としては、保冷剤などをタオルに巻いて首の後ろを冷やすのが効果的だそう。メイクの上からでも使える顔面用の制汗シートや、メイク前に顔用制汗剤や顔汗ケア用の化粧品など手軽に取り入れられるアイテムも活用して。ただし、顔以外にあまり汗をかかない人の場合、まずは全身の汗腺機能を高めることが大切。入浴や適度な運動を日常的に取り入れて、汗をかく習慣を身に付けよう。
Q.マスクをしていると、自分の口臭が気になる「マスク生活になったことで、今まで気付いていなかった口臭が気になる方が増えています」と、豊田先生。お悩みを寄せてくれたオズモール読者・ひでさんのほかにも、口臭対策を探している人は多いはず。
口臭の主な原因は、口の中の細菌、臭いの強い食事やたばこ、呼吸器系や消化器系の病気、本人の思い込み(自臭症)などがあり、対策はそれぞれ異なるそう。ただ、共通する口臭対策もあるということで豊田先生が教えてくれたのは以下の4つ。
1.口の中を清潔に保ち、細菌の増殖をおさえる就寝前、寝起き、食後に加えて、長時間マスクをしていた後はていねいに歯を磨く。鏡で舌をチェックし、舌苔が多く付着している場合は舌磨きも行う2.口の中の乾燥を防ぐ小まめに水分補給をし、ガムを噛んだりして唾液の分泌を促す3.生活習慣の改善偏った食事を見直し、臭いの強い食品やアルコール、たばこなどを控える4.体の病気を疑ってみる口臭は、虫歯や歯周病のほか、内蔵の病気や糖尿病によって発生する場合も。口臭の悩みが続く場合は、日本口臭学認定医などの専門医に相談してみて
教えてくれた人豊田 雅彦さん「うるおい皮ふ科クリニック」院長。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医。「1人として手を抜かないハイクオリティー高度専門治療」をモットーに、西洋医学と東洋医学を融合したオーダーメイド治療で皮膚病やかゆみ診療にあたる。現在までに2000以上の医学論文・医学専門書を執筆。