使いこなし編では、Wi-Fiの電波状況をよくすることにフォーカスして解説を進めている。使い始めると分かるが、Wi-Fiの電波は思っているほど飛ばないものだ。Wi-Fi通信状況がイマイチな自宅で、どうやったら少しでも快適になるかを模索している。
Wi-Fiルーターの電波の入りを良くするため、今回はWi-Fiのチャンネルがどうなっているのかを見てみよう「自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ! 使いこなし編」連載記事一覧
前回から少し間が空いてしまったが、ここまででお教えしたコツは3つある。電波を遮断する性質の壁(コンクリートや石膏ボードなど)に阻まれないよう注意すること、アンテナの向きで電波の飛ぶ方向が変化すること、電波は反射をうまく活用するといいことだ。
また、少し分かりにくいかも知れないが、何でもかんでも強い電波で飛ばせばいいかというと、そうではない。使う場所以外に電波が届かないくらいに電波出力を絞るのがベストで、不便にならない程度に出力を低くし、電波を極力外に漏らさずにセキュリティリスクを少なくすることもポイントだ。
今回からはもう1点、Wi-Fiで使うチャンネルを有効に使う方法を見てみよう。Wi-Fiで使う周波数は2.4GHz帯と5GHz帯の2つがあることは、使いこなし編の第2回で少し触れている。大雑把に言うと、Wi-Fi以外に電子レンジなどの電波が飛び交っていて、常に混雑している2.4GHz帯と、比較的空いてはいるが遠くまでは飛ばない5GHz帯、といったようにイメージしておこう。つまり、少しでも空いている5GHz帯をいかに活用するかがポイントになるわけだ。
この2つの周波数帯は、それぞれがチャンネルという幅に分割されていて、状況に応じて複数のチャンネルから空いているものを自動的に選んで通信に用いる仕組みになっている。
2.4GHz帯は基本的に13チャンネル[*1]、5GHz帯は19チャンネルあるのだが、2.4GHz帯は最も狭い20MHz幅で使っても、実質的にはほぼ3つのチャンネルとしてしか使えない。このため、5GHz帯の方が圧倒的に広く使えることになる。
[*1]……現在は、実質的なチャンネルの数は13だが、以前は日本独自でIEEE 802.11bのチャンネルとして14チャンネル目を利用できるWi-Fiルーターが存在していた。ただ、この幻の14チャンネルを使える現行モデルは、基本的に存在しない
最近は、Wi-Fiの通信を高速化するため、複数のチャンネルを束ねて活用する仕組みが採られており、IEEE 802.11acで5GHz帯を使う場合は、4つのチャンネルを束ねて80MHz幅として使われる。この場合、確保できるチャンネルの数は4つになってしまう。2.4GHz帯でIEEE 802.11nを使うと、確保できるのは2つが精一杯で、下手をすると1つになることもある。