いよいよ9月25日よりiPhone 6sの発売が始まり、週末にはじっくり触れてみた人も多いかと思います。しかし筆者が注文したのは米国版のiPhone 6sのため、その本体はまだ米国西海岸にあり、日本でのお祭りに乗り遅れてしまいました。
iPhone 6sに関するオーソドックスなレビュー記事はたくさん掲載されているはずなので、今回はちょっと普通じゃない観点から、書いてみたいと思います。
米国版のiPhone 6sは、カメラのシャッター音が消せることや、値段が少し安いなどのメリットがある。
昨年9月のiPhone 6発売当初、米国のアップルストアではT-Mobile版がSIMフリー版として売られてしました。しかし2015年1月には、特定のキャリアに紐付けられていない純粋なSIMフリー版を購入できるようになり、これが日本版と全く同じ仕様だったことから、日本でも注目を浴びました。
その発売時期はCES 2015の開催と重なっていたことから、筆者もラスベガスのアップルストアで購入したことを記事にしています。
これに対してiPhone 6sでは、まだアップルストアに純粋なSIMフリー版は登場していません。米国の4つのキャリアから1つを選ぶ必要があります。
しかしAT&T版、Verizon版、あるいはSprint版を買おうとすると、新規または既存の回線契約を求められます。現時点でiPhone 6sの端末だけを購入できるのは、T-Mobile版のみという状況です。
ただ、ここでひとつ大きな問題にぶつかりました。T-Mobile版のiPhone 6sをカートに入れると、商品名に(GSM)との表記があるのです。
米国でT-Mobile版を買おうとすると、(GSM)との表記がある。
iPhone 6の場合、同じA1586というモデルであっても、GSM版とCDMA版の2種類が存在することが発売後に判明し、混乱が起こりました。CDMA版は、GSMとCDMAの両方に対応したモデルで、日本で発売されたモデルもこれに相当します。一方、CDMAに対応しないGSM版は、欧州などで販売されていました。
iPhone 6が発売された頃、ドイツに滞在していた筆者がミュンヘンのアップルストアで購入したのも、このGSM版でした。欧州でCDMAネットワークを展開するキャリアは存在しないため、ほとんど困る人はいないのですが、日本に持ち帰ろうとしていた筆者は大いに困りました。
ミュンヘンのアップルストア。筆者はここでGSM版のiPhone 6を買ってしまった(その後、この記憶は封印し、歴史の1ページから抹消した)
iPhone 6sのT-Mobile版における(GSM)表記が気になるのは、こうした経緯があるためです。すでにオークションサイトのeBayには、米国の各キャリアが販売するiPhone 6sが出品されています。その外箱の画像を確認する限り、たしかにAT&T版とT-Mobile版にはCDMAをサポートしているとの表記がありません。
ただ、これは外箱の表記だけの問題で、実はCDMAに対応しているとの情報もあります。米国のモバイル事情について詳しい情報がまとまっている、A Yoshida氏による『アメリカより』というブログには、AT&T版やT-Mobile版であってもCDMAに対応しており、かつ技適マークもあったとの報告が寄せられています。
今後、iPhone 6sにおいても明示的な“米国SIMフリー版”が登場する可能性もあり、焦って買わないほうがよいかもしれません。いずれにしても、本当にCDMAが問題なく使えるかどうかなど、実際の購入にあたっては自己責任になります。筆者もT-Mobile版(GSM表記)を注文してみたので、手元に届いたら検証してみるつもりです。
とはいえ、「なぜそこまでして米国版を買おうとするのか?」という疑問を感じる人もいるでしょう。iPhone 6の場合は、シャッター音が消せるというメリットがありました。
たしかに日本で売られる携帯電話は、防犯上の観点から、カメラのシャッター音を必ず鳴るようにする、業界の自主規制があります。これに対して海外では、キー操作音などと同様、シャッター音を消せる端末が多く、静かなレストランなどでは無音にすることがマナーといえます。
ここ数年、筆者は海外に行く機会が増えており、単にマナーを守るというだけでなく、無用なトラブルに巻き込まれないようにするという意味でも、日本のスマホを使うことはなるべく避けています。
しかしiPhone 6sで加わった新機能のLive Photosでは、このシャッター音がほとんど気にならないレベルになっています。
実際にiPhone 6sでLive Photosを撮ってみると、シャッターボタンを押した時点では音が鳴らず、撮影後に動画撮影が終わったことを示す音が小さく鳴るだけでした。まったくの無音ではないものの、比較的静かに撮れる印象です。
Live Photosは動画撮影に近いため、派手なシャッター音は鳴らない。
そして今回、iPhone 6sではもうひとつ、米国版にお得な要素があります。それは値段が安いという点です。米国では、最も安価なiPhone 6sの16GB版は649ドルで、現在のレートでは7万7880円相当です。これに対して日本のSIMフリー版は8万6800円で、税込では9万3744円となります。
iPhone 6sでは日本と米国で為替レート以上の価格差がある。
ワイキキの場合、消費税は4.712%のためiPhone 6sの16GB版は約8万1500円になるが、それでも日本版より安い。
米国でも多くの州で消費税はかかるものの、消費税のない州で購入できれば、最大1万5000円以上の違いがあります。これを日本に持ち込む場合、送料や日本の消費税などを考慮する必要はあるものの、それでも米国版のほうがちょっとだけお得になります。ただでさえ高いSIMフリー版のiPhoneだけに、少しでも節約できるのは嬉しいところです。