Huaweiの最新SIMロックフリースマートフォン「HUAWEI P9」が、日本でも6月17日に発売される。6月9日には発表会を開催し、ライカと共同開発したカメラ機能をはじめ、その特徴が語られた。ここ最近、日本では高価格帯のハイエンドSIMロックフリースマホが増えつつあるが、数あるスマートフォンの中でも、このP9は特に「欲しい」と思えるデキだ。その理由を紹介したい。
「HUAWEI P9」P9の価格が「5万9800円(税別)」だと聞いたときは「安い!」と思った。欧州で販売されている、日本向けと同じメモリ3GB+ストレージ32GBモデルは599ユーロ(約7万2000円)なので、日本が価格面で優遇されていることが分かる。ファーウェイ・ジャパン デバイス・プレジデントの呉波(ゴ・ハ)氏はその理由について「日本は戦略的な市場と位置付けている。P9でもさらに日本市場にフォーカスして、日本の消費者の皆さまが直接的な恩恵が受けられるような値段に設定した」と語っていた。
ライカと共同開発したカメラ、5.2型フルHD IPS液晶、3000mAhバッテリー、最新CPU、下り最大262.5Mbpsのキャリアアグリゲーション対応など、ハイエンドモデルとして十分なスペックを持ちながら、5万円台に抑えたのはすばらしい。通信キャリアが7万〜8万円台で販売するモデルとスペックを比べても遜色なく(防水やおサイフなどは非対応だが)、非常にコストパフォーマンスの高いモデルだといえる。
報道陣の質問に答える呉波(ゴ・ハ)氏ライカと共同開発したカメラ機能は特筆に値する。そのポイントは以下の通り。
1200万画素カメラを2つ搭載しているP9が持つデュアルカメラのセンサーは、RGBとモノクロームで構成されている。モノクロセンサーにはカラーフィルターがない分、RGBセンサーの3倍もの光を取り込むことができる。RGBセンサーで取り込んだ色彩情報とモノクロセンサーで取り込んだディテール/陰影情報を合わせることで、鮮やかかつ深みのある描写が可能になる。特に暗いシーンや逆光のシーンで威力を発揮するという。
RGB+モノクロのセンサーを組み合わせることで鮮やかな描写が可能になるより多くの光を取り込めるのもモノクロセンサーのメリットだ筆者も実際に海外でグローバルモデルのP9を試してみたが、夜景も明るく、色味も見たまま近く正確に撮影できた。これまで、デュアルレンズというと「3D撮影」などキワモノ的なイメージが強かったが、P9ではキレイな写真を残すべく機能していることが分かる。
専用のモノクロームセンサーを1つ搭載しているだけあり、雰囲気のあるモノクロ写真を撮れる。光の差し込む様子や肌の質感などもしっかりと表現できるので、スマホカメラの新しい楽しみを得られるはずだ。
モノクロでも美しい一枚を撮れる絞りをリアルタイムで調整することで、ピントの合う範囲を自在に変更できる「ワイドアパーチャ機能」を搭載。被写体の背景をボカしたり、逆に被写体をボカしたりもでき、「スマホのカメラでここまでできるのか!」と思わずうなる一枚を作成できるだろう。
撮影前と後に絞りを調整できる筆者がP9のカメラを試して特に「スゴイ」と思ったのは上記3点。
ほかに、レーザー光線を当てて被写体との距離を算出する「レーザーオートフォーカス」と、デュアルカメラの視差を用いて被写体との距離を算出する「デプスフォーカス」の合わせ技で、近い距離でも遠い距離でもしっかりとピントを合わせられる。ただ、AFの速度は「デュアルピクセルセンサー」を積んでいる「Galaxy S7 edge」の方が速く、シーンによっては遅く感じることもあった。
HUAWEI P9は最新の指紋センサーを搭載しており、指の縁(ふち)でも認証ができる3D指紋認証に対応している。ディスプレイが消灯している状態でも、背面のセンサーを指でサッと触れるだけでロックが解除されるのはありがたい。iPhoneやGalaxyなどはホームボタンに指紋センサーを搭載しているが、一度ボタンを押して画面を点灯させてから認証させる必要があるので、1ステップ多い。P9は認証の精度も良く高速なので、とてもスムーズにロックを解除できる。
指紋認証は「快適」の一言端がカーブしている2.5Dガラス、ダイヤモンドカットを施したエッジ、サンドブラスト仕上げの金属ボディーなど、外観の美しさも魅力だ。側面はしっかりとカーブが掛かっているのでフィット感も良好。そしてHuaweiもアピールしている「カメラの出っ張りがない」フラットなボディーも特筆に値する。iPhone 6sやGalaxy S7 edgeよりも薄い6.95ミリを実現しながら、iPhone 6sやGalaxy S7 edgeにはあるカメラの出っ張りがないのは見事の一言。
エッジ部分がキラリと光るのもデザインのアクセントになっている現行のスマートフォンでは数少ないUSBーType Cに対応しているのも特徴の1つだ。従来のType Bのように、コネクターの向きを気にせずに差し込める手軽さは、使うほどにじわじわと実感できる。
欲しい理由に挙げるほどではないが、SIMロックフリースマホでは珍しく、P9では複数の周波数帯を束ねて高速化を図る「キャリアアグリゲーション(CA)」に対応しており、下り最大262.5Mbpsの通信が可能だ。Huaweiの実験によると、都内でCAをオンにした状態とオフにした状態で通信速度を比べたところ、オンの方が平均60%ほど実効速度が高かったという。
CAにより実効速度も向上したまた、P9やP9 liteでは、どのように端末を握っても電波の受信感度が落ちないよう最適化する「シグナル+」という技術を取り入れている。シグナル+では端末の全方向から電波を受信するため、通信と通話品質が安定する。このシグナル+はオンにしてもバッテリーの持ちに影響がないため、常時オンになっている(オフにできない)。
都内の発表会場(恵比寿のザ・ガーデンホール)で測定した通信速度。100Mbpsを記録したこともあった(写真=左)。どのように握っても通信を安定させる「シグナル+」(写真=右)基本情報から価格比較まで――格安SIMの情報はここでチェック!→「SIM LABO」
残念なところは?1|2次のページへ